ITmedia NEWS > 社会とIT >

「スマホデビュー」は今や小学生が最多 “勉強中のスマホいじり=サボり”はもう古い?小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2023年02月22日 10時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 1月23日、MMD研究所が「初めてスマートフォンを持つ子どもと親への意識調査」という調査データを公開した。これまでスマートフォンを所持している子どもおよび保護者を対象とした調査は数多くあるが、「初めて持った・持たせた」というタイミングに注目した調査は比較的珍しい。

 これによれば、初めてスマートフォンを所有する年齢は小学6年生が最多となっている。10数年前は高校入学時が最多、そこから中学校入学時に移ってきたという経緯があるが、今は入学時とは関係なく所有するようになった。

初めてスマートフォンを所持するのは、小学6年生が最多(MMD研究所調査)

 筆者の下の娘も初めてiPhoneを持たせたのは小学6年生の時で、まさにこのデータに合致する。一方1つ年下の息子はあまり欲しがらなかったこともあり、持たせたのは中学入学時であった。学齢別で見ると、すでに小学校時代に所有する子どもはおよそ半分にも及んでおり、中学以降はむしろマイノリティーである。

小学生以下での所持開始はすでに半数を超える(MMD研究所調査)

 スマートフォンを所有してからのトラブル経験としては、学齢が上がるに従って減少傾向にある。それだけ経験を積んできたという事だろう。小学生でも26.8%という数字は、思ったより少ない。親が叱れば泣くぐらいの年齢のうちに小さいトラブルを経験しておいたほうが、「大けが」しなくて済むともいえる。年齢が高くなってのトラブル、例えば高校生ぐらいになって“すしペロ炎上”のような事件を起こせば、退学処分や自主退学といった事もありうる。

トラブルが学齢が上がるごとに減少する(MMD研究所調査)

 トラブル内容の内訳としては、割と定番なものが占めていると思われるが、保護者が困っていることとしての最多が、「何をすればいいか分からない」というのは困った事である。ネット教育が本格化した2012年ごろからは、家庭内で利用ルールを決めるというのが当たり前だったが、10年経てばそうした経験者は子育てを卒業する。今の保護者層は、自分がネット教育したこともないし、されたこともないという、空白世代に相当する。

トラブルの内容自体は、昔から変わっていない(MMD研究所調査)
トラブル回避のために、何をすべきか分からない保護者が最多(MMD研究所調査)

 子どもとのスマートフォン使用契約書については、インターネットユーザー協会でも当時講演で推奨していたし、米国で評判となった同様の取り組みについても、筆者のメルマガで分析している。2013年の事である。当時はこうした記事が当たり前のように世の中に出回っていたものだが、最近とんと見なくなっている。過去こうした運動があったことすら知らない保護者がいても仕方がないだろう。

 子どものネット利用を管理するのに、子ども以上のスマホの知識が必要になるわけではない。そのほとんどは、「覚悟の問題」だ。子どもに初めて自転車を買ってやったとき、転びもせずケガもせず最初から完璧に乗りこなすことなど期待していなかったはずだ。それと同じで、どうせ何かやらかすという「覚悟」が事前にあるかどうかだけで、問題の見方がずいぶん変わってくる。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.