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「スマホデビュー」は今や小学生が最多 “勉強中のスマホいじり=サボり”はもう古い?小寺信良のIT大作戦(3/3 ページ)

» 2023年02月22日 10時30分 公開
[小寺信良ITmedia]
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スマホとの関係をより密にする「キャッシュレス」

 この調査で面白いのは、子どものお小遣いをキャッシュレスで送金するという手法を細かく調査しているところである。内訳を見てみると、現在キャッシュレス送金の利用は併用も含めて23.5%あり、送金意向は合計45.4%にも及ぶ。

お小遣いのキャッシュレス化が進行中(MMD研究所調査)

 子どもの決済サービス利用を見るとPayPayが圧倒的である。この2月にZホールディングスと同子会社であるLINE、ヤフーの3社が2023年度中に合併する方針を発表し、決済サービスもいよいよ統廃合が始まる可能性は高いが、それだけ少額キャッシュレス決済が一般化したという事だろう。

子どもも大人もキャッシュレス決済はPayPayが主力(MMD研究所調査)

 筆者が住む宮崎県では、食券前払い式のラーメン店や一部のタクシー会社、現金決済に妙なこだわりを持つドラッグストアなどの一部でまだ現金オンリーの世界が残っているが、全体としてはここ3年ぐらいで急速にキャッシュレス化が進んだ。1月に埼玉に帰省、2月に大阪に出張したが、その時はお財布を一度も出さずに生活できた。お年玉は現金渡しだったが、これもそのうちキャッシュレスが求められるかもしれない。

 キャッシュレス決済ができるメリットとしては、「手持ちの現金がないときにお金の送金できる」が1位となっており、なるほどな、と思った。都市部では保護者もキャッシュレスだろうし、小遣いのためにATMに行って降ろしてくるのもナンだなという気持ちは分かる。

キャッシュレスのメリットを活用している様子が伺える(MMD研究所調査)

 また「利用履歴が見れるので用途や残高の管理ができる」というのは、新しい視点だ。せっかくの小遣いを何に使ったか分からないままで放置しておくより、内訳を見て指導できるなら、それに越したことはない。

 「急きょ買い物を頼みたくて離れた場所から子どもに代金を送金できた」は高校生ぐらいのお子さんだろうか。高校ぐらいになれば電車やバスでの通学もあり得るので、行動範囲が広くなる。駅前のスーパーやコンビニでちょっと買い忘れたものを頼めるというのは、保護者にとってのメリットである。

 同じような話に見えてちょっと異なるのが、交通系IC決済サービスである。これは基本的に自分のクレジットカードからチャージするのが前提であり、他者からの送金に対応していない。地方では高校に通うのに、基本自転車、雨の時だけ電車やバスといった通学方法になる。つまり定期を買うほどでもないのだ。そうしたときにIC決済は便利だが、チャージ方法が困る。

 現状は筆者のクレジットカードの1つを子どものスマホに登録することで、足りない時は自分でチャージできるようにしてあるが、その気になればカード限度額まで使い込めるわけで、安全とはいえない。

 三井住友カードでは、家族分のプリペイドカードを作れる「かぞくのおさいふ」というサービスがある。子供用のプリペイドカードに、保護者のカードからチャージできるサービスだ。このプリペイドカードからSuica等にチャージできるように設定しておけば、保護者の管理する限度額で制限をかける事ができる。

 今後「子どもとキャッシュレス」は、大きなテーマになってくるかもしれない。社会がキャッシュレス化していくのに、子どもだけがいつまでも現金しか使えないなら、いつまでも現金決済の方法を残しておかなければならず、企業にとっては次第に重荷になっていく。

 お年玉までキャッシュレスになるのは味気ない気もするが、同時に興味深い社会になってきたという気がする。

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