金融業界でもフィンテック勢を中心にChatGPTの活用が本格化するかもしれない。FPなどとの金融助言マッチングプラットフォーム「オカネコ」を運営する400F(東京都中央区)は、システムにChatGPTを組み込み、顧客の最初の相談に活用していく方針を明らかにした。
「もはや人を、AIを組み合わせたチャットが代替していく」と中村仁CEOは話す。
ただし、その利用イメージはChatGPTが資産運用法を提案したり、商品を案内するというものではない。最初のやりとりの際に、顧客の話し相手となって不安点や現状をヒアリングする役目だ。
「情報の正確性や、鮮度、そもそも業法として勧誘を行えるかどうかには課題があり、AIがアドバイスを行うのは限界がある。ただし、セラピーのような立場で、人に聞きにくいお金の悩みもAIには気軽に聞ける。最初のガイダンスを行うのは、人よりも圧倒的に効果的だ」(中村氏)
昨今お金の悩みを持っている人は増加しているが、具体的に資産運用を行うまでには数々のハードルがある。漠然と不安を抱えている人にとっては「そもそも何が分からないのかが分からないという悩みが多い」(中村氏)のが最大の課題だ。
特にお金の悩みは、家族や友人であっても詳らかにするのがはばかられるほどセンシティブ。誰にも話したくないようなお金の不安も、AIになら話せるという狙いだ。400Fは、匿名かつチャットで相談を始められる仕組みを用意し、30万人以上が利用するプラットフォームに成長してきた。
そうしたチャットでのやり取りや、顧客情報といったデータが蓄積されており、これを使ってAIをファインチューニングすることで、精度の高いやり取りができるのではないかと想定している。
実際、GPT-3のdavinciモデルをチャットシステムに組み込み、顧客がお金の悩みを相談するデモも行った。
研究段階ではなく実際の顧客への適用も早々に始める。人が応対を行うのに比べ、どれくらいのコンバージョンレートが出るかの評価を進める考えだ。「CVRなどのKPIを設定した上で、ビジネスとして費用対効果がどう生まれるか、早急に見ていきたい」(中村氏)
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