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全社DXを実現するには「データアンバサダー」を立てるべし BIツールベンダーが提唱 どんな役割?(1/2 ページ)

» 2023年03月29日 10時58分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 「これからはDXの時代だ」──そんな話が出始めてからもうしばらくたつ。データ活用に取り組む企業も増えつつあるが、中には社内での活用が進まないと悪戦苦闘する人もいるのではないだろうか。

 なぜデータ活用を浸透させられないのか。データ活用向け、クラウドBIツールを提供するドーモ(東京都渋谷区)はその原因について「経営層や各事業部門の内部にデータが抱え込まれてしまう“データのサイロ化”が起きている」と指摘する。成果を出すには全社横断でデータを活用する必要があるという。

 同社の日本支社の代表であるプレジデント・ジャパンカントリーマネージャーである川崎友和さんは、「データアンバサダー」の導入が、このサイロ化の解消に重要な役割を果たすと話す。データアンバサダーとはどのような役職なのか。

特集:組織がまわるデータ活用 成果を出せる仕組み化のすすめ

事業にデータ活用を取り入れる企業が増え「業務効率化に成功した」という声も聞こえるようになってきた。一方、全ての企業で成果が出ているわけではなく、成功までに前途多難な道を進む企業も少なくない。本特集では、データ活用×組織にフォーカスし、データ活用に成功する組織形成に必要な要因を探る。

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全社DXのカギを握る「データアンバサダー」とは

 データのサイロ化とは、例えば「分析用BIツールは専門家しか使えない」「データは経営層や役職者しか確認できない」などデータ活用に社内の一部の人間しかかかわっていない状態を指す。一般社員がデータを直接活用できる環境がないともいえる。

 「データは多くの人が触れてこそ価値が出る。全社員がデータを活用できれば、今まで見えなかったことが見える。自分や他の社員の立ち位置が分かれば、ビジネスへの好奇心が増して組織全体が賢くなる」(川崎さん)

ドーモのプレジデント・ジャパンカントリーマネージャーである川崎友和さん

 そこで登場するのがデータアンバサダーだ。これは企業内の橋渡し役としてデータ活用文化を醸成する役割を持つ人で、経営層やビジネス部門、IT部門を結び、社内の風通しを改善することで、データ活用文化の定着を促す。

 なぜ橋渡し役が必要なのか。それは各部門が○○に足踏みをしてしまう事例が多いからだ。ビジネス部門からすれば「ビジネスにデータ活用を導入するなら、自社の事業に精通したビジネス部門がオーナーシップを持つべきだが、ツールの選定にはIT部門の力が必要」と思うだろうが、IT部門からすると「どんなデータがビジネスに使われるかが分からない」という話になる。

 互いに全容を把握できないため「どちらかがリードしてくれるはず」という考えに至り、足踏み状態に……そんな国内企業が多いという。経営層も各部門に指示を出してから任せきりになる場合がある。

 川崎さんは「データ活用が成功する組織は経営層がプロジェクトに入っているケースが多い」とし「それぞれのポジションで視点のずれが起こることこそ、DXを阻害する原因の一つ」と説明。経営層と各部門、両方から合意が取れるようつなぎ合わせていくことがデータアンバサダーの役割としている。

企業内の橋渡し役となるのがデータアンバサダーの役割
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