日本でTwitterが一般でも使われるようになって、ざっくり10年以上の時間が経過しています。インターネットの歴史を振り返ると、だいたい10年に1回ぐらいはテクノロジーをベースにした大きな変化が起きており、それはSNSでも例外ではないわけです。
細かい話はここでは書きませんが、今の有力SNS陣営もそれは分かっているので、あれやこれやと手を打っているわけです。ただ、運営元がすべてのデータを持っている、要するに中央集権的な構造は基本的に変わってはいません。
そこにくさびを打ち込んだのは、一時流行り、今でも場所によっては使われている分散型SNS「Mastodon」(マストドン)です。マストドンは1つの中央集権ではなく、小さい島がたくさんあっても、連携できるという方向性だったわけです。ただ、島であっても、その島そのものは中央集権的ではあって、その島がなくなってしまえば(サーバがストップしてしまえば)終了です。
そこで、さらにもっと分散してデータを持つSNSというのが出てもいいのではないかということは、当然考えることです。SNSと同じに考えてはいけませんが、インターネットの基幹技術の1つであるDNSはまさにその分散型で、どこかのDNSサーバが止まっても、いきなりアクセスできなくなるということはないわけです。
そんな中、少し前から日本でも使われ始めたのは「Nostr」です。これはまさに分散型のSNSで、サーバ同士が連携することで機能します。ただ、これは参加するためには秘密鍵や公開鍵などの設定が必要だったりするので、一般層で使うには少しハードルが高い部分もあります。
そして、そのNostrが注目を集めた理由がTwitterのファウンダーであったジャック・ドーシー氏が注目していることでしたが、同じようにドーシー氏が注目している(今の段階では)招待制のSNS(のように見える)「Bluesky」です。
さきほど、SNSのように見えると書いたのには理由があって、BlueskyはSNSでありながら、同時にそうでは言い切れない特徴を持っています。それがソーシャルプロトコルとでも呼んだ方がいい特徴です。
BlueskyはATプロトコルとよばれるSNSのためのオープンプロトコル上で動いているのですが、このATプロトコルは公開されており、それを使えばBlueskyのようなSNSを自分で設計することもできます。そして、そのフィードのアルゴリズムも自分たちで選択することさえできるようになるのです。
そして、同じATプロトコル動いているSNSであれば、別のSNSにも同じIDでユーザーとして参加できることを目指してATプロトコルはその標準化を目指しています。
つまり、BlueskyはそのATプロトコルの1つのサンプルとして運用されているのです。ちょっと分かりにくいとは思いますが、そういうものであるとご理解ください。しつこいですが、もう一度説明しておくと、Blueskyが作っているのは、BlueskyというSNSとATプロトコルというSNSのためのプロトコルという2つのものなんです。ここ、大事なところです。
だから、現状のBlueskyはまだSNSとしてβ版であり、そもそもATプロトコルを使った1つのサンプルなので、ユーザー数の拡大は大きな目的ではありません。このため今の段階では招待制なのです。
さて、本題に入る前の前提がすっかり長くなってしまいましたが、そのBlueskyの世界初のユーザーミートアップが東京で開催されました(なぜ、世界初が日本になったのかについては、また後でご説明します)。
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