ソニーの名を冠する写真コンテスト「Sony World Photography Awards 2023」(SWPA)において、AI生成画像がクリエイティブ部門の最優秀賞を受賞した。作者のボリス・エルダグセンさん(ドイツ)は、応募理由として「私は生意気な猿として、主催側にAI画像を受け入れる準備があるか調べるために応募した」としている。エルダグセンさんは最終的に賞を辞退した。
SWPAは200以上の国と地域から作品が集まる国際的な写真コンテスト。受賞者には500ドルの賞金とソニーから機材が送られる。エルダグセンさんは「PSEUDOMNESIA | The Electrician」という作品を提出し受賞した。同作は2人の女性を写した白黒写真のように見えるが、AIで生成した画像だ。
エルダグセンさんは「SWPAは(作品制作に)どんな機器を使ってもいいとしていた」として、作品提出当初はAIで生成したことを明示していなかった。タイトルの「PSEUDOMNESIA」が「偽の記憶」という意味であることなどヒントはあったが、制作方法を明確に提示したのは受賞後だった。
SWPAは4月14日までに、受賞作一覧のページからエルダグセンさんの名前と作品を取り下げたが、詳細な取り扱いについては発表していない。
エルダグセンさんは自身のブログで13日に、賞を辞退したことを発表した。
「受賞作がAIで生成されたと分かった、もしくはそうでないかとうたがっていた人はどれくらいいるでしょうか。何か納得できないですよね。AI生成画像と写真はこのような賞で比較するべきではありません。違う存在なのだから。AI生成画像は写真ではない。よって私はこの賞を受け取りません」(エルダグセンさん)
エルダグセンさんは、主催側にAI画像を受け入れる準備があるか調べるために応募したとし「結果、その準備はなかった」と述べている。写真界に対しても「何が写真で、何が写真ではないかのオープンな議論が必要」と問題提起しており、賞の辞退により議論を加速させたいとしている。
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