米コロラド州で開催されたファインアートコンテストで、画像生成AI「Midjourney」が生成した絵が1位を取ったと、米ニュースサイトのMotherboardが8月31日(現地時間)に報じた。優勝者は「これが物議を醸すことは分かっていた」とし、画像生成AIによる作品作りへの影響について問題を提起している。
問題になった絵を提出したのは、米国のボードゲームメーカーであるIncarnate GamesのCEOを務めるジェイソン・アレンさん。「Theatre D'opera Spatial」という作品で、コンテストのデジタルアーツ部門で1位を取ったのを大会の公式Webサイトで確認できる。Motherboardによると、アレンさんはMidjourneyを使い数百枚の画像を生成。その中から3枚選び、Photoshopで画像を調整、AIを使い解像度を上げたものをプリントして提出したという。
アレンさんは「これが物議を醸すことは分かっていた」とMidjouneyのDiscordサーバ上でコメント。続けて「極端な例えだが、あるアーティストが逆さ吊りやむち打ちされながら絵を描いたとする。彼の作品は、同じ作品を“普通に”作った他のアーティストとは違う評価を受けるべきか?」と問題を提起。
アレンさんは「結局どうなるかは分かっている。いずれ芸術界はAIが制作した芸術を“人工知能アート”として独自のカテゴリーを作るだろう」と持論を述べ、批評家たちはアートを制作方法で判断していると指摘した。「私は今、立ち止まることはない。この勝利は、私自身をさらに鼓舞させた結果なだけだ」(アレンさん)
この結果を見たアーティストのジェネル・ジュロマンさん(@GenelJumalon)は「TL;DR」(長すぎるので要約するの英略語)とした上で、汚い言葉を使って批難。これに対し「クリエイティブな仕事が機械によって脅かされるなら、高い技能が必要な仕事でさえ廃れる危機にある。そうなったときに私たちには何が残るだろうか?」と危機感を覚える意見などが見られた。
日本でもTwitter上で反応が見られ「こういうこといつか起きるとは思ってたけどもう起きたのか」や「1つも自分で描いてないものがコンテストで1位だとそりゃ批判殺到だろう」「良い道具を使っただけでその絵を人間が評価して良いとしたならそれでいいのでは?」など賛否両論の意見が寄せられている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR