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日本ベンチャーによる民間初の月面着陸、月面到達も通信ロスト 「着陸確認できない」

» 2023年04月26日 02時30分 公開
[山川晶之ITmedia]

 日本の宇宙ベンチャーispace(東京都港区)は4月26日、成功すれば民間企業として初めてとなる月面着陸にチャレンジしたが、着陸予定時刻を過ぎても着陸が確認できていないと発表した。同社は月への物資輸送を目指すベンチャー企業で、独自のランダー(月着陸船)とローバー(月探査車)を開発。今回は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」の初回となる「ミッション1」として実施した。

着陸状況を説明するispaceの袴田武史社長

 同社は着陸の瞬間のライブ配信を実施。予定時刻を過ぎ、着陸したかどうかispaceのミッションコントロールセンター(MCC)にて確認が進められていたが、MCCによると着陸直前までランダーとの通信が確立していたものの、その後信号が途絶えたという。同社の袴田武史社長によると、月面に到達していると思われるものの「月面着陸が完了できていない可能性がある」と明かした。

ランダーから送られてくる信号をもとにしたシミュレーションで着陸予定時刻を迎えたが、MCCによるとその後ランダーからの通信が確立されないままという

 一方で、「すでにミッション1は非常に大きな成果を残した。月面の着陸まで通信が確立できており、着陸までのフライトデータが確実に得られた。これをもとに、我々のミッション2、ミッション3にナレッジをフィードバックして、次の技術の成熟度を上げていく」と、今後のチャレンジに意欲を見せた。

 ランダーには7つのペイロードを搭載。日本特殊陶業(名古屋市)の固体電池、UAEドバイの政府宇宙機関であるMBRSCの月面探査ローバー「Rashid」、JAXAの変形型月面ロボット、カナダMCSSのAIのフライトコンピューター、カナダCanadensysのカメラ、HAKUTOのクラウドファンディング支援者の名前を刻印したパネル、HAKUTOの応援歌であるサカナクション「SORATO」の楽曲音源を収録したミュージックディスクが搭載されている。

 ミッション1の打ち上げは2022年12月に実施。米SpaceXのFalcon9ロケットにて打ち上げられ、月に向けて航行を続けていた。同社では、引き続きランダーとの通信確立にチャレンジするとしている。

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