ディープラーニングにおいて、NVIDIAのGPUが欠かせないことはもはや一般常識だと思う。いくらAppleが華々しく「Apple Silicon」を喧伝しようが、AMDが「ROCm」を喧伝しようが、ディープラーニングにおいてはNVIDIAのGPUに勝るソリューションは存在しないというのが常識だった。
今、この常識に風穴を開けようとするシリコンバレーのスタートアップがある。
それがSambaNova Systems社(以下SambaNova)だ。最近では、日本の最新鋭スーパーコンピュータである「富岳」を運営する理化学研究所計算科学研究センターにも採用されたことで話題になった。しかし日本では全く知られていないこの会社、その勝算は一体どこにあるのか? SambaNovaのカントリーセールスディレクターである鯨岡俊則氏に話を聞いた。
―― SambaNovaはどんな会社ですか?
鯨岡氏 2017年にパロアルトで創業された会社で、創業メンバーはSun MicrosystemsでNiagara(ナイアガラ)プロセッサの設計に関わったメンバーたちが中心になっています。
――あの“Niagara”ですか!? メニーコアの走りですよね? 僕も使ってましたよ!
Niagaraプロセッサとは、Sun Microsystemsから「UltraSPARC T1」プロセッサとして発売されたマルチスレッドマルチコアプロセッサのコードネームである。Webサーバで要求されるマルチスレッド性能を最大化するため、1コアあたり4スレッドの同時実行が可能で、最大8コアを搭載することで32スレッドを同時実行するという斬新なプロセッサだった。
鯨岡氏 そうです。特殊で大規模な処理を行うプロセッサの設計が得意なわけです。今回のSambaNovaのアーキテクチャは、非ノイマン型のデータフロープロセッサということでより尖っています。
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