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ディープラーニングが激速に NVIDIAの牙城を崩せるか? SambaNovaに聞く清水亮の「世界を変えるAI」(2/4 ページ)

» 2023年04月26日 13時00分 公開
[清水亮ITmedia]

非ノイマン型のデータフロープロセッサとは?

――まず、データフロー型というものについて教えてください。従来のGPUとの違いは何でしょうか?

鯨岡氏 従来のGPUコンピューティングは、あくまでもノイマン型でした。ノイマン型というのは、ご存じだと思いますが、プロセッサがメモリからデータを読み書きしながら処理を行うわけです。

 ディープラーニングでは大量のデータを同時並行的に処理する必要があるため、高速なメモリがないと処理が進まなくなってしまう。そこでGPUではHBMという非常に高速だが容量が小さく、高価なメモリを使わなければならない。ここがネックになって、GPUを使ったシステムは非常に高価な割に、大きなニューラルネットを1つのプロセッサ上に載せられないというジレンマがありました。

 データフロー型では、このノイマン型のアプローチをやめ、演算ユニットから演算ユニットへ直接データが流れていきます。メモリとプロセッサの間をデータが往復するのではなく、演算ユニットから演算ユニットへデータを流し込んでいくのです。その結果、高速なメモリが不要になります。現在の実装では1TBのDDR4メモリを搭載しています。

――ちょっと待ってください。通常、GPUに搭載できるメモリ(HBM)は80GB程度が限界ですよね? それがデータフロー型だと1TBまで拡張できると、そう解釈していいんですか?

鯨岡氏 演算ユニットとメモリの間をデータが頻繁に往復しないので、DDRのような一般的なメモリで十分ということですね。例えば、実際にSambaNovaの再構成可能なデータフローユニット(Reconfigurable Dataflow Unit、RDU)でできることの例として石油開発のために地下の状況を分析する3次元セグメンテーションのタスクがあるんですが、このタスクで比較すると、GPUでは解像度が128x128x128くらいが限界なんですね。ところがRDUを使えば512x512x512と、一目瞭然と言って良いほどに解像度を上げられるわけです。

――すごいじゃないですか!

鯨岡氏 というわけで、最初は超高精細画像認識がすごいですよ、という売り込み方をしていたのですが、最近だと急激にGPTのような大規模言語モデル(LLM)の需要が高まってきまして、そちらでも当社のデータフロー型が有効ですよ、という話ができるようになってきました。

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