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もう「テキストで動画編集」ができる時代に 試して分かったAIの進化っぷり小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

» 2023年05月16日 17時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

テキストで動画編集の先駆者「Vrew」がついに有料サービスに

 書き起こしたテキストを編集すると、それに合わせて動画も編集されるという仕組みは、韓国企業Voyager Xが開発してきた「Vrew」が先に実装していた。2017年創業のベンチャー企業である。

書き起こし編集の先駆者Vrew

 Vrewは動画の音声をクラウド上のAIで解析し、文字起こしを行なう。アプリ上では、右側にテキスト、左側に動画が表示される。テキストは2段になっており、上のテキストを編集すると、動画の方もそれに合わせて編集されていく。下のテキストは、字幕用のテキストである。

編集用テキストと字幕用テキストの2段構成

 すでに作業中から字幕が入った状態が表示されており、字幕入れ作業の効率化に特化したツールであることがわかる。現在はWEBアプリ版と、Windows、Mac、Linuxに対応したデスクトップアプリ版がある。一般的な編集ツールとして、音楽や効果音の追加や音量調整といった機能もある。

BGM挿入もテキスト編集画面ベース

 現在動画編集のスタンダードであるタイムライン式のUIは、Avidの「Avid/1」が先駆者となり、以降多くのソフトウェアで採用されている。一方Vrewでは、音楽の挿入などもテキストベースなので、現在のタイムラインUIに慣れている人には、逆に苦労する。ビデオ編集のUIに一石を投じるソフトウェアである。

 なおVrewは、.srtという字幕データだけを書き出すこともできる。このデータを他の編集ソフトにロードすれば、タイムライン上で編集できる字幕データとなる。このため、文字起こし機能のないDaVinci Resolveなどのソフトと組み合わせて使用する例も多かった。また他国語への翻訳出力にも対応している。ネイティブな話者が居ないと翻訳が合っているかどうか確認できないのだが、ネイティブな話者翻訳を丸ごと依頼するよりも負担は少ないだろう。

字幕は他言語書き出しにも対応

 これまでは開発中ということで、無料で使用できた。筆者がサービスを知ってから3年ぐらい経つが、ずっと無料でどうやって収益化するのかと思っていたのだが、この4月からヘビーユーザーに対する有料化へ踏み切るようだ。音声分析で1カ月120分以下など小規模の利用であれば、これまで通り無料で利用できる。

いよいよ有料化へ

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