高機能ではあるが文字起こし機能は搭載していなかったBlackMagic Designのハイエンド編集ツール、「DaVinci Resolve Studio」も、4月17日に公開されたバージョン18.5のベータ版で、「音声テキスト化編集」という機能を実装した。DaVinci Resolveには無償版の「DaVinci Resolve」と有償版の「DaVinci Resolve Studio」の2つがあるが、AI機能はStudio版の特徴となる。
現時点で公開されているベータ版ではまだ英語しか書き起こしできないため、実際の動作は確認できていないが、サイトの説明によれば、素材動画やオーディオファイルから文字起こしを行ない、書き起こしたテキストでの検索や、必要な部分を選択してタイムラインへ追加できるなど、Premiere Proで実装した機能とほぼ同様の事ができるようだ。
これまでDaVinci Resolveには「DaVinci Neural Engine AI」というAIが実装されてはいるが、あまり有用な活用がされてこなかった。今回はこうした文字起こしだけでなく、複数の音が混じったオーディオから音声のみを抽出したり、音のタイプを判別してソートするAIオーディオ分類ツールなどが追加される。
これまでプロ映像業界のメーカーは、AIをどう使うか知恵を絞ってきたし、研究もしてきたが、コンシューマのほうで先にAI技術の活用が爆発した。プロ業界だとどうしても確実に動くもの、間違いが無いものにまで仕上がってから世に出す例が多いが、AIに関しては先に世の中に出して真価を問うという流れになっている。
AdobeにしてもBlackmagic Designにしても、今回のテキストベースでの編集機能をあわてて積んだわけではなく、長年研究してきて公開のタイミングを見計らってきたのだろう。それをこの4月に行なわれた世界最大の映像機器展示会「NAB Show」に合わせて発表したというわけだ。波に乗るなら今、というわけである。
編集ソフトは、プロ向けからコンシューマ向けまで幅広く様々な製品が存在するが、カバレッジが広いPremirere ProとDaVinci Resolveの両ソフトがAIの活用を強化したことで、今後AI非搭載ソフトは、よほど特殊なUIであったり、特殊な機能を積んでいない限り、極端に時代遅れとなる可能性が出てきた。
編集とAIがどのように絡んでいけるのか、これから色々な組み合わせが出てくる事だろう。
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