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SaaS経営者の本棚を覗き見 チームスピリット経営メンバーはどんな本を読んでいる?IT経営者の本棚(2/4 ページ)

» 2023年05月18日 14時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

荻島浩司代表取締役CEOの本棚・愛読書

読んでいる本についての全体的な傾向

 海外のビジネス系の書籍を主に読んでおり、特に経営哲学やマーケティングに関連するものが多いです。自分の考えを見つけ出したり、それを言葉で表現したりすることは容易ではないため、自分の考えを裏付けたり補強してくれるような本を選んでいる気がします。主に電子書籍を利用し、実際の本棚には電子化されていない保存版の本だけを保管しています。

印象に残っている本、思い出深い本

 この本は実は妻が買ってきたものです。映画は多くの人が見たと思いますが、その製作過程の絵コンテなどが載っており、映画がどうして衝撃的だったのかが理解できます。本の中には原作者の井上雄彦さんのロングインタビューが掲載されており、直感で作品を表現していた一人の漫画家からアニメの脚本・監督への大変な挑戦が描かれています。この物語はプロダクト開発者から経営者への道のりと共通する部分があるため、アニメ本編のイメージと重ね合わせて印象深く感じられました。

セールスフォース・ドットコム社設立11年目の2010年に刊行されたマーク・ベニオフとカーリー・アドラーの著作です。SaaSビジネスを始める人にとって非常に実践的な111のアドバイスが掲載されており、われわれが2011年にSalesforceベースでSaaSビジネスを始めた際には、この本がまさに教科書でした。初めて読んでから11年が経過した現在でも、まだ実現できていないアドバイスがいくつもあるため、これを機会に残りのアドバイスを完遂しようと思います。私の持っている本は直接マーク・ベニオフにサインしてもらったもので、その意味でもとても貴重な一冊です。

 「ブラックスワン」の著者であるナシーム・ニコラス・タレブの2017年の著作です。悪いブラックスワン(予測できない大きな衝撃)から自身を守り、良いブラックスワンを利用するために何をすべきか、反脆弱性(脆弱性の反対語は頑健ではない)という概念について述べています。

 特にオプション性というリスクを限定しつつアップサイドの上限を排除するためのポジショニングについてなど、起業家としての生き方やSaaS、サブスクリプションというビジネスモデルはまさに反脆弱性の考え方に基づいていると感じます。自分のことを他人が理解できるように後付けの講釈で説明するのは苦手なので、このような本を読んでいる人間だとそのまま理解してもらえると大変うれしいです。

荻島さんのプロフィール

 1996年、チームスピリット設立。インディペンデント・コントラクターとして東芝および東芝ソリューション株式会社(現・東芝デジタルソリューションズ)において金融機関向けパッケージ開発や、オペレーショナル・リスクコンサルティングに従事。2011年、働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を企画・開発してSaaSビジネスに参入。


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