経済産業省によると2022年のキャッシュレス決済比率は36%に達し、111兆円が現金を使わずに取り引きされるに至った。25年6月までに40%という目標に対し、順調に進捗しているといえるが、実は海外に比べるとまだまだ低い比率だ。
その理由の一つに企業間決済がある。海外では、事務効率をアップできる、与信が不要、資金繰りにメリットがあるなどの理由で、企業間取引でもクレジットカードを使う例が増加している。一方、国内では月末に合算して請求書を送り、受け取った側は請求書に従って銀行振込をするのが一般的だ。ちなみに、経産省の定義する「キャッシュレス」には銀行振込は含まれていない。
しかし銀行振込が中心という、旧態依然としていた企業間取引も変化が起き始めている。
昨今のSaaSサービスは、請求書払いではなくカード払いしか受け付けていないところも多い。多くの企業が利用する、例えばAmazonのクラウドサービス「AWS」、Googleの広告サービスなどは、カード払いが基本だ。昨今ホットなチャット型AI「ChatGPT」も当然カード払いのみとなっている。
「欧米では企業間決済もカードが当たり前。それが波及してくることで、日本でもカードで払うのが当たり前になるだろう」と、SansanのBill One Unitゼネラルマネジャーの大西勝也氏は話す。
Sansanが提供するサービスでも、基幹サービスである大企業向け名刺管理サービス「Sansan」は請求書オンリーだが、21年にスタートした中小企業向けの「Eight Team」はクレジットカード払いのみだ。
このように個人決済だけでなく、企業間取引にもキャッシュレスの流れが生まれつつある。経産省は3月に公開した「キャッシュレス将来像の検討会」資料の中で、企業間キャッシュレスに触れ、そのメリットとして「シームレスなオペレーション」「デジタル化による業務効率化」「データを活用したイノベーション」を挙げた。
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