　米Appleは6月5日（現地時間）、年次開発会議「WWDC23」において、同社初のMRヘッドセット「Apple Vision Pro」を発表した。実空間とコンピュータのディスプレイを融合するMR技術に対応し、新たに「空間コンピューティング」を標榜する。価格は3499ドル（6日時点で約48万8000円）で、2024年初めに米国で展開。それ以外の国については24年後半での提供を目指す。

「Apple Vision Pro」

コントローラーなしで声、視線、手のジェスチャーで操作が完結する

「Apple M2」と「Apple R1」のデュアルチップ構成

　片目あたり4K以上のマイクロOLEDパネルを採用。12個のカメラ、LiDARや深度センサーなど5つのセンサー、6つのマイクを搭載する他、プロセッサは「Apple M2」に加え、リアルタイム処理に特化した新チップ「Apple R1」を採用。高いグラフィックパフォーマンスとR1による低遅延表示（ラグは12ミリ秒）のおかげで、酔いを抑えつつ実空間とコンピューター空間をシームレスに融合するという。

「Apple M2」と「Apple R1」を採用

　OSはゼロベースで開発した「visionOS」を採用。低遅延を実現すべく、新しいリアルタイム実行エンジンや、中心窩レンダリングなどをOSレベルで実装する他、iOS／iPadOS用のアプリもVision Pro上で使うことができる。Macへのリモートアクセスなども可能だ。VRヘッドセットで一般的なコントローラーは存在せず、音声認識と視線認識、手のモーションだけで操作が完結する。

　周囲の環境光をもとにウインドウから落ちる影をシミュレートすることもできる。これにより、実世界にウインドウがあるような存在感が得られる他、ユーザーがウインドウとの距離感を測る手助けにもなる。

実空間にユーザーインタフェースが浮かび上がる

マルチウィンドウでの作業も可能

空間を記録できるApple初の「3Dカメラ」に

　Vision Proは、Apple初の3Dカメラになるという。複数のカメラと空間オーディオ技術を活用することで、実世界を3D的に動画と音で記録可能。いつでも撮影した空間を呼び出すことができるという。さらに「3D映画」の視聴も可能。2次元の映画とは違う没入感を体験することができるという。100以上のApple Arcadeゲームもプレイ可能だ。