米Appleが6月5日(現地時間)に発表したMRヘッドセット「Apple Vision Pro」について、VRヘッドセット「MeganeX」など、VR向けハードウェア製品の開発・販売を手掛ける、Shiftall代表取締役CEOの岩佐琢磨氏から見た視点をコラムとしてお届けする。本稿は、岩佐氏のブログ「キャズムを超えろ! Rev.2」に掲載された記事をもとに加筆していただいたものを、ITmedia NEWS編集部で掲載している。
米AppleのARヘッドセットが発表されました。正確にはSpatial Computing Device…?(空間コンピューティングデバイス)らしいですが。限られた人しか製品を見ることができず、日本国内でPreview品を見ることができなさそうという状況下なので、Appleファンの方々による
「これはVRやARじゃない、もっとすごいものなんだ! WOW!」
「携帯電話じゃない、iPhone(後のスマホ)なんだ! YEAH!」
といった中身のよく分からない期待と感情だけの話が大量に飛び交いそうなんで、技術サイドやVRの専門家として、これはこういうものなんだよ、魔法なんかじゃないんだよということをしっかり説明をしておかなければとキーボードに向かいました。
AppleのTim Cook CEOが発表するときに、XRともVRとも言わずに「an entirely new AR platform」(全く新しいARプラットフォーム)と言っていましたよね。そう、こいつはVRヘッドセットのように見えるんですが、AR Platformとして発表されたものです。まずはここを見誤ってはいけません。
またTimはこう続けています。「Vision Pro is a new kind of computer」(Vision Proは新しい種類のコンピュータ)だと。なので、アプローチとしては(当初の)「Meta Quest Pro」に非常に近いアプローチです。
Quest Proが発表されたときも、米MetaのMark Zuckerberg CEOは「コンピュータを置き換える」ような言い方をしていました。これは言い換えると、頭にかぶれる大画面PCともいえるわけです。ですが、Quest ProはPCを置き換えるようなものとして設計されたようですが、その実はただのハイエンドなVRヘッドセットとして使われているという現状です。
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