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朝ドラ「らんまん」で注目 牧野博士の研究をちょっとだけ追体験できるアプリ「牧野100コレ」(2/3 ページ)

» 2023年06月26日 17時35分 公開

──牧野100コレを開発した経緯を教えてください

「牧野100コレ」。画面はiPad版

竹内さん:2020年春にリリースした「ハナノナ」は深層学習の応用で写真から花の名前を判定するアプリです。コロナ禍で在宅する人が多かった時期、近所の散歩の時に路端の草花の名前をスマホをかざすだけで判定するアプリは大変好評となりました。普段見る花でも名前が分からないと記憶に残りませんが、名前を知ると親近感を持ってしまうようです。

 2022年春、東京都公園協会の方が大学を訪れられ、ハナノナのアイデアを使って何かコラボしましょうというお誘いをいただき実現したのが「神代バラコレ」です。神代バラコレは東京都調布市にある「神代植物公園」バラ園のイベント「秋のバラフェスタ」に合わせたアプリで、バラ園に咲く約200品種のバラの写真をコレクトして自分だけのバラ図鑑を作るというアプリです。

 バラコレは、初めて起動したときは、200個の品種名が付いた空き枠が並ぶ白い図鑑です。ユーザはバラ園で見つけた品種の写真を撮って白い図鑑の該当する枠に埋めていきます。全品種の写真が集まると自分だけのバラ図鑑が出来上がるという仕組みです。

 バラコレを始めると、ついつい、いつもより公園に長くいることに気づきます。しかも一日で終わらないと来週もまた来ようという気になります。ちょうどいい感じに公園とのエンゲージメントを強化するアプリになりました。

 このコラボがうまくいったので、他のコレクションのネタを考えている時に、以前コラボの相談をしたことのある北隆館さんに思い当たりました。北隆館は植物図鑑の老舗出版社で「牧野日本植物図鑑」など多数出版しています。そこで「牧野コレ」を提案しました。牧野氏は植物の細部まで正確に描き込んだ植物画でも有名です。北隆館の植物図鑑にはそんな植物画がたくさん収録されています。その絵も今の世に甦らせたかったわけです。

──牧野100コレの特徴は?

竹内さん:アプリのコンセプトはバラコレと同じです。100個の植物の写真を集めること。牧野100コレの特徴は、牧野富太郎と関わりのある植物を100個、高知県立牧野植物園の先生に選んでいただいたこと、その選定理由もアプリの中に紹介されていること、牧野富太郎らの描いた植物画が掲載されていることです。

 牧野富太郎ブームが盛り上がる中、牧野富太郎と縁のある植物を訪ねることで牧野への親しみを草花への関心を深めてもらえたらと思います。写真が普及していない時代、図鑑といっても図は手書きしかなかった。花の鑑定をしてもらうために専門家に送るには、途中で腐らない絵を送るしかなかった。

 そんな時代背景もあると思いますが、牧野の植物図はある種スーパーリアリズムのような画面全体にピントが合ったような素晴らしい絵画です。この絵を現代の人に見てもらいたいというのもこのアプリの狙いです。

「牧野100コレ」のキャベツのページ

──アプリを公開した後の反応はいかがですか?

竹内さん:朝ドラの放送前から牧野富太郎を知っていた人からは嬉しい声を聞いています。朝ドラで牧野に目覚めた人はこれからもっと増えると思います。

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