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Google初の折りたたみスマホ「Pixel Fold」を使ってわかったこと 手にしっくりくる“横”の魅力(2/4 ページ)

» 2023年06月27日 16時30分 公開
[山川晶之ITmedia]

これぞ折り畳める「タブレット」

 その内側ディスプレイだが、アプリがタブレットなど大画面用のUIに対応しているなら便利に使える。Kindleならマンガなどを見開きで読めるし、Googleマップなら地図も見やすくなる。Adobe Lightroomなら写真を大きく写したままレタッチできるし、左右に独立したQWERTYキーボードパネルで、両手持ちしながらGoogleドキュメントで入力も。まさしく、小さなタブレットとして使うことができる。

Kindleで「AIの遺電子」(作:山田胡瓜先生)を閲覧した様子。見開きで表示してくれる
大画面でLightroomのレタッチもしやすい

 Android 13には「分割スクリーン」が搭載されている。アプリを2つ並べて使えるマルチタスク機能で、使いたいアプリを1つ立ち上げ、画面下からスワイプして顔を出すランチャーから、もう1つ使いたいアプリを左右どちらかの画面にドラッグすれば、同時に使えるようになる。Twitterしながらブラウジングでも、TikTok見ながらInstagramでメッセージのやり取りでも、PDFファイルを見ながらメールを打つでもOKだ。

2つのアプリを同時に表示できる「分割スクリーン」

 画面を縦にすると大画面用のUIが姿を消し、今度はスマートフォン用のUIが7.6インチいっぱいに広がる。Androidは、まだ大画面UIに最適化されていないものが多く、横向きだと左右に黒の帯が出てしまうことがあるが、縦にすることで「大画面スマートフォン」としてアプリが使える。分割スクリーンも、左右ではなく上下で表示されるので、YouTubeとか動画を見ながらの作業に向いている。

 こうしてみると、Pixel Foldが横向きの内側ディスプレイを採用した理由も何となく分かってくる。もちろん外側ディスプレイの使いやすさや、ハンディさなどいろんな背景があるとは思うが、Googleが大画面に特化したUIに力を入れ始めたのと関係がありそうだ。

 Googleは長年、Androidタブレットに力を入れてきたとはあまり言えない状態が続いていた。Samsungや中国Lenovoなど、タブレットを継続して出していたメーカーもあったものの、iPadで着実にタブレット市場を作ってきたAppleと比べると、対応アプリの数などにどうしても差があった。

 しかし、手軽に大画面を持ち出せる折りたたみスマホなどの登場もあり、大画面ならではのUIを整備する必要が出てきた。そこで2022年に登場したのが、タブレット/折りたたみスマホ向けOSの「Android 12L」だ。各社が独自で実装していたマルチタスク機能などをGoogle自ら実装し、UIを横向きにも対応させたことで、大画面を生かしたアプリを作りやすい下地を整えた。

 今のGoogle的に、大画面を生かすなら専用UIが使える横向きで、利便性をアピールしたいのかもしれない。

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