コード決済サービス「PayPay」の手数料を巡るツイートが話題になっている。ある店舗が掲載したと思われるポップを撮影したツイートで「PayPayの2022年度決算取扱高が10兆円と聞いて(PayPayの取り扱いを)やめました」などと記載。この画像を巡って、決済システムの手数料について議論が巻き起こっている。
ツイートのポップではPayPayの取り扱いをやめる理由として「店舗側はPayPay側へ手数料として2%を支払う」ことを挙げており「『汗をかかずにもうかるシステム』への小さな抵抗」などと説明している。
これを見たTwitterユーザーからは「格安競争を強いられる時代に2%の手数料が取られるのは痛い」「ウチも手数料の負担が厳しいのでやめました」など店舗経営をするユーザーを中心に、手数料が負担になっている実情に同調する声が挙がっている。
コード決済の手数料を巡っては、創業から40年以上たつ飲食店「ボンディ神田小川町店」もQRコード決済の取り扱いをやめると発表して話題になった。同店は「利用が増えるにつれ、毎月支払う手数料がすごい金額になるため」とやめる理由を説明。システムの決済手数料負担が店舗経営を圧迫し始めるケースは少なくないようだ。
一方、「『汗をかかずにもうかるシステム』を構築するために死ぬほど汗をかいた人がいる」「PayPayだって、こういうシステム作って普及させてという企業努力をしている」など、ポップの表現には疑問を呈する声も挙がっている。
Zホールディングス(ZHD)の22年度通期決算資料によると、同年のPayPay取扱高はPayPayカードとの連結分を含めると10.2兆円(単体7.9兆円)で、ツイートの内容通りとなっている。PayPay事業の売上高は1676億円で前年から64.0%増加している一方、最終損失は119億円の赤字だ。
PayPayは2018年のサービス開始時から赤字が続いており、いまだ収益化には至っていない。にもかかわらず、22年度の「PayPayポイント」の年間発行額は6000億ポイントを突破。赤字を垂れ流し続けながらもキャンペーンを相次いで打ち、4月時点の登録ユーザー数は5700万人、累計登録箇所数は410万カ所超、利用可能箇所数は235万カ所超に至っている。
つまり、PayPayの現状は「汗をかかずにもうかるシステム」ではない。赤字を出し続けながらも、営業努力でユーザーを集め続け今に至っているわけだ。そのおかげか赤字幅は年々縮小し、登録ユーザー数や加盟店数なども右肩上がり状態で、“もうかるシステム”へと歩みを進めている。ZHDの親会社であるソフトバンクは5月に発表した決算資料にて「25年度までにPayPayを含めた金融事業の黒字化を目指す」と表明した。
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