社会保険労務士向けクラウドサービス「社労夢」を提供するエムケイシステム(大阪市)は7月3日、ランサムウェア攻撃によって停止していたサービスについて、6月30日に提供を一部再開したと発表した。AWS上で開発中だったバージョンを急きょ改修し、暫定版としてリリースした。
サービスを再開したのは、社労夢の最新バージョン「V5.0」と、人事向けクラウドサービス「DirectHR」など。社労夢については、6月21日までに一部機能の提供を再開していたが、30日に他の機能も使えるようにしたという。バックアップからデータベースの移行も済ませた。
社労夢の旧バージョン「V3.4」など、まだ復旧していない他サービスも、7月第2週には再開する見込み。ただし社労夢については、サービス停止中にエムケイシステムが代替として提供していたオンプレミス版を利用していた場合、データの移行や連携が必要になり、すぐに使い始められない可能性があるという。
エムケイシステムでは、ランサムウェア攻撃の影響を受け6月5日から社労夢など9サービスの提供をストップ。21日には「当社の約3400ユーザーの大半にサービス提供できない状況」(エムケイシステム)と明かしていた。
約1カ月間サービスを提供できず、利用料も請求しなかったことから収益は「大幅に減少する見込み」(同社)という。原因の調査やセキュリティの強化にもコストがかかり、影響の正確な見積もりが難しい事から、30日には2024年3月期通期連結業績予想も修正。もともと約32億円を見込んでいた売上高、約2億6000万円を見込んでいた営業利益をいずれも「未定」とした。
「ユーザーの大半にサービス提供できない」 社労士向けシステムのランサムウェア被害、発生から2週間たつも完全復旧せず
マイナンバー漏えいの可能性明かす企業も 社労士向けシステムへのランサムウェア攻撃、ユーザーへの影響広がる
社労士向けクラウド「社労夢」障害、発生からまもなく1カ月 6月料金請求なしで売上高予想32億円→未定に
「復旧めど立たず」 クラウドベンダーがランサムウェア被害に 8サービスがダウン、約4日経過Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR