小寺信良のIT大作戦
”ChatGPT時代”初の夏休み どうする学校のAI対策 保護者から見た文科省「AIガイドライン」の中身(1/3 ページ)
大人にとっては計画の相談相手やプログラミング、単純作業の補助など、AIの活用が始まっている。現在AIにNOを突き付けているのはコンテンツ業界で、それはそうだろうと思う。
一方子供の教育にAIが活用できるのではないかとして、さまざまなところで検討や勉強会が行なわれているところだが、一方で懸念や慎重論を示す人も少なくない。とはいえ、子供たちが今後出て行く社会は確実に「AIありき」になっているわけで、学校にいる間にAIを学んでおくべきというのは、悪い考えではない。
こうした中、文部科学省が学校教育におけるAIの利用に関して、ガイドラインを発表した。6月末ごろには新聞報道で、夏休み前には出るのではないかと予想されていたが、7月4日という、割と早い段階で出てきたことになる。
6月末に新聞報道があった段階では、夏休み中の利用についてフォーカスされていたため、おそらく当面利用を禁止する方向で出されるのではないかと懸念していた。だがこのガイドラインは「一律に禁止や義務付けを行なう性質のものではない」と明言されており、今後も「機動的に改訂を行なう」とされている。つまり利用するならこのような点に留意せよという内容になっており、細かいことは学校に丸投げになっておらず、全体的に好意的に見られるものであった。
教育とAIの関係については、筆者と西田宗千佳氏とで共同発行しているメールマガジンの中で検討を続けてきたところではあるが、公の場で意見を述べるのは初めてとなる。今回は文科省のAI利用暫定ガイドラインの中身を、保護者目線で検討してみたい。
授業でどのように教えていくか
ガイドラインの中では、パイロット的な取り組みとして、4つの段階に分けるとされている。(1)の「生成AI自体を学ぶ段階」(生成AIの仕組み、利便性・リスク、留意点)から始め、(2)の使い方、すなわちプロンプトエンジニアリングを学び、実際に利用していくのは(3)以降、という流れになっている。
こうした段階を踏むのは妥当性があるところだが、実際にはどの教科で、何単元ぐらいかければそこまで行けるのかは、まだ実践例がない。特に1は重要だが、AIの動作そのものを見たことがない子供たちもまだ大勢おり、先生が実例を示していくことになる。しかしそれにはまず先生に相当のAIに対する経験が必要である。好きな先生はどんどん試してはいるだろうが、最初はそうした先生がパイロット的に進めていく事になる。
その一方で、AIを学習に取り入れるには何年生からが妥当か、という問題がある。それぞれの利用規約からすれば、ChatGPTは13歳以上で18歳未満は保護者の同意が必要となっている。Bingでは未成年は保護者の同意が必要、Bardは18歳以上とされている。
小中高校生の教育を想定すると、Bardは選択肢から外れる。Bingは保護者の同意があれば何歳でもいいように見えるので、小学校では保護者の同意を得てBingを使うという事になるだろう。一方ChatGPTは中学生以上での利用が想定される。
ただ個人的にAIを利用している感覚からすれば、どれか1つのAIサービスに頼るのは危険……とまでは言わないが、偏りがあるように思える。複数のAIに対して同じ質問を投げてみるといった比較利用が、AIの本質や特性を知る上で重要だろう。
もう1つ、年齢的な成長という意味で言えば、AIの中に架空の人格を見いださないぐらいの年齢であることは必要であるように思える。つまりAIを「何でも知っている人」「間違いのない人」と思い込み、AIの指示する通りに行動してしまうような年齢には、使わせるのは難しいように思える。つまり上記のパイロット例のうち、(1)がクリアできない年齢では難しいという事になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良のIT大作戦
ベテランのテクノロジーライターである小寺信良さんがIT分野全般にわたって考察する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
2
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
-
3
PHP脆弱性でいち早くサービス停止したコドモン 背景に「被害が出てからでは取り消せない」
-
4
GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
-
5
GMO、「能動的サイバー防御」発動を政府に要請 「お名前.com」FX用VPSへの攻撃で
-
6
「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る
-
7
「AIでエンジニア派遣は不要になる」のか? 各社に肌感を聞いた 求められる人材、明確に変化
-
8
コミックシーモア、流出は最大約420万件に メールアドレスや生年月日など 不正アクセスの経路特定・遮断は完了
-
9
ロリポップ改ざん問題でツイート炎上のGMO熊谷社長、「強気すぎた」と謝罪
-
10
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR