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「マイクのいらない会議室」ゼンハイザーが公開 もう誰かが走り回らなくていい、その仕組みとは?(2/3 ページ)

» 2023年07月27日 11時57分 公開

 ゼンハイザーによると、さらに「TruVoicelift」という技術でハウリングを防止し、音声の音量アップをサポートしているそうです。これには音声を高速に揺らすことでピークに達しそうな周波数成分を分散させ、人の耳に分からないようにハウリングを抑える機能、そして音声レベルの閾(しきい)値を超えた場合にはミュートする機能があるそうです。

 結果として、話者は特に大きな声などを出す必要もなく、普通に話すだけで声が拾われ、増幅されて室内のスピーカーから出てきます。実際にデモの最中に登壇しているゼンハイザーの方の近くにまで行ってみましたが、ホント普通に話している声量でした。これはこの日、驚いた瞬間でした。

 天井に設置となると、配線などの設置のしやすさも気になるところですが、TeamConnect Celling Mic2はPoE(Power over Ethernet)に対応しており、ケーブル1本で通信も電源供給もまかなえるとのことでした。これは会議室の見た目にもプラスとなるでしょう。

PoE対応のLANポートが見えます

 では、ここで企業のWeb会議──リアル会議室にはたくさんの人がいて、かつオンラインの参加者もいるというケースの難点を考えてみましょう。

  • 話者(とマイク)次第で音の大きさや品質にばらつきが出てしまう
  • オンライン参加者には誰が話をしていているのか分かりにくい(何人かが一斉に話し始めたときは特に)
  • システムの設定、運用が難しい

 人の声が収音できることは、すでに書いたとおりですが、今回のシステムにはこうした部分を補完する重要な機能が2つあります。1つは「収音優先範囲設定」、もう1つはその反対のことをする「収音除外範囲設定」です。

 例えば、スクール形式であれば講師の声を優先的に音を拾うようにして、生徒の音は控えめにする、といった運用が可能になります。また、大人数の会議であれば、事務方が座っている場所は音を拾わないといういったことも可能になるわけです。

 設定の切り替えは操作パネルで行えるので、生徒の質問を受け付けるときは生徒側の席も音を拾うようにできます。もうだれかがワイヤレスマイクを持って走るなんて必要はなくなるわけです。

操作パネル

 また、登壇者が前で話をしている場合には、前の方のスピーカーは音を小さめにするなんていう細かな音量調整も可能とのこと。

 そして、Q-SYSのカメラ連動機能もあります。これは、話者が変わったらカメラも自動的に話者を追尾してくれる機能です。これによってオンライン参加者が見ている映像も、いま話している人の姿に変わるのです。何人かの人が話している場合は、全体を映すという設定も可能だそうです。

会議室の天井に設置されたカメラが話者を追います

 この日はエクスペリエンスルーム サクサクだけではなく、同じビルの上階にあるゼンハイザーのオフィスの会議室とつなぐというデモも行われました。

上階にあるゼンハイザーのオフィスの会議室とつなぐデモ

 当然といえば当然ですが、場所を変えても音声もカメラもよく追尾されており、これならば確かに快適にWeb会議や配信などに対応できることが実感できるデモでした。

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