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なぜ? 日本のキャッシュレス決済手数料が高い理由(3/4 ページ)

» 2023年08月03日 16時00分 公開

なぜ日本の手数料は高いのか?

 では、なぜ日本だけ手数料が高くなりがちなのだろうか。理由の1つは各業者の取り分を多くしないと事業が成り立たないことに由来する。決済手数料が高止まりする原因は以前からいろいろ指摘されているが、「銀行振込手数料の高さ」と、NTTデータの「CAFIS利用料」がその理由としてよく挙げられている。

 特に後者のCAFISについては多くの事業者が中継ネットワークとして利用しており、ネックの1つとされていた。これについては各方面からの圧力もあり、2022年11月に大幅値下げを発表している。

 また、公正取引委員会と経済産業省の動きもあり、インターチェンジフィーの透明性を高めるべく情報公開の指導が行われている。顕著な例でいえば、この結果としてSquareにおけるJCBとQUICPayの手数料引き下げが行われており、MastercardやVisaの水準に追いつくなど、同時期に各方面にも波及している。

JCBとQUICPayの決済手数料減額を発表したSquare

 このように以前ほど“左うちわ”の世界でもなくなりつつあるカード業界だが、それでも欧米水準に比べるとやや高止まりしている。筆者も理由について毎回考察しているが、おそらく特定の事象だけに起因するものではなく、複合的要因によるものではないかと考えている。

 要素を挙げると「ポイント還元の原資」「『オンアス(on-us)』取引が常態化する複雑なビジネス構造」「マンスリークリア(翌月一括払い)の利用が中心で利息収入が限られる」といったものがあり、これらが絡み合って高コスト体質を生み出しているのではないかというものだ。

 特にポイント還元に偏ったビジネスはカード普及や利用増に貢献したが、それがゆえに競争上止められないという悪循環に陥っている。ビジネス構造がシンプルでないこともコスト高の間接要因となり、現状のビジネスモデルを続ける限りは解消は難しいのではないかというのが筆者の意見だ。

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