廃止が決まった現行の健康保険証。2023年9月からは、すべての薬局・医療機関でマイナンバーカードの健康保険証利用が可能に。24年秋には原則として紙の保険証が使えなくなる予定だ。一方、国民からは情報セキュリティなど運用面の不安から、政府により慎重な動きを求める声もある。
国民の意見を受け、岸田文雄内閣総理大臣は8月4日、“マイナ保険証”への不安を払拭するとして会見を実施。マイナ保険証や行政デジタル化への思いを語った。岸田総理はどのように国民に理解を求めたのか。本記事ではその全文をまとめた。
本日は、デジタル化推進に向けた決意と、その前提となるマイナンバーカードに対する国民の信頼回復のための対策について説明をさせていただきます。冒頭、マイナンバーの紐付け誤りを巡って、国民の皆さんの不安を招いていることにおわびを申し上げます。
すでに発表している信頼回復のための3つのポイントを徹底し、国民の皆さんの信頼を取り戻した上で、わが国にとって必要不可欠であるデジタル改革を本格的に進めてまいります。
改めて信頼回復のための3つのポイントを簡潔に申し上げます。第1のポイントは個別データの総点検です。自治体や保険者とともに、原則として秋までに必要な個別データの総点検を実施します。その際、点検マニュアルの共有や点検費用など、点検実施期間の負担に十分配慮をしてまいります。
第2のポイントは再発防止の徹底です。手作業でマイナンバー登録を進める中でさまざまな登録ミスが発生しており、再発防止のためにマイナンバー照会の手法や登録の手続きなどについて、国レベルで詳細で横断的なルールを定めます。
さらに、プロセスを可能な限り機械化していきます。中間報告と再発防止については、来週8日に総点検本部を開催して公表をいたします。
第3のポイントはデジタル化への理解促進とマイナ保険証への不安払拭(ふっしょく)です。この最も本質的で重要な点について、本日は私の思いを、マイナ保険証への不安払拭を図るための方針について説明をいたします。
まず、岸田政権はなぜデジタル化を急いで進めるのかということです。2020年、私は党の政調会長としてコロナとの戦いの最前線に立っていました。そして、わが国のデジタル化の遅れを痛感いたしました。
国民への給付金や各種の支援金における給付の遅れ、感染者情報をFAXで集計することなどによる保健所業務の逼迫(ひっぱく)、感染者との接触確認アプリ導入やワクチン接種のシステムにおける混乱。欧米諸国や台湾、シンガポール、インドなどで円滑に進む行政サービスが、わが国では実現できないという現実に直面をし、わが国がデジタル後進国だったことにがくぜんといたしました。
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