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岸田総理「日本はデジタル後進国」 マイナ保険証への理解を求める会見、何を語ったか【全文】(2/3 ページ)

» 2023年08月04日 20時43分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 この「デジタル敗戦を二度と繰り返してはならない」「主要先進国に大きく後れを取っている」「わが国行政のデジタル化の送れを取り戻したい」。この強い思いから、政権発足以来、デジタル田園都市国家構想・マイナカードの早期普及を進めてきました。

 デジタル田園都市国家構想については、5G、光ファイバー、海底ケーブルなど、デジタルインフラの全国展開を前倒しするとともに、デジタル田園都市国家構想交付金を創設。農林水産業、観光、国土強靭(きょうじん)化、医療、教育などの分野へのデジタル実装を支援し、横展開を強力に進めてまいります。

 並行して、マイナカードの早期普及にも縦割りを廃して関係大臣が一致協力して取り組んできました。国民の皆さんのご協力によって、(発行数は)8904万枚、普及率は70%を超えています。

 なぜマイナカードの早期普及が必要か。それは、多様な公的サービスをデジタル処理するための公的基盤を欠いていたことが、コロナのときのデジタル敗戦の根本的な原因だったと、政府全体で認識したからです。

 少し詳しくご説明いたします。私たちの普段の暮らしでは免許証やパスポートが身元確認の役目を果たします。では、顔が見えず、なりすましも簡単なオンラインの世界で、身元確認や本人確認をどうするのでしょうか。

 その役目を担うのが電子証明書を内蔵しているマイナンバーカードです。それ故に、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートと呼ばれています。

 総理大臣の職責を担って以来、世界にごするデジタル先進国を実現する、そして、個人や中小企業のさまざまな事情を配慮したきめ細かい公共サービス、生活サービスを全国津々浦々で効率的に行える公的基盤を一刻も早く整えたいとの強い思いを持って政策を進めてきました。

 実際に、一部の自治体では先進的な取り組みが始まっています。先週、現地視察を行った福岡市では、マイナンバー制度を活用し、ノンストップ行政の実現を掲げ、9割以上の手続きのオンライン申請が可能となっています。

 同時に、高齢者の方々のためのきめ細かい相談体制も充実させ、誰一人取り残さない行政サービスに取り組んでいます。群馬県でも、マイナカードとSuicaの連携により地域交通の割引サービスを行っています。また、介護施設でも、センサー技術を活用した見守りや蓄積されたデータの活用によって、良質な介護が実現している現場を拝見しました。

 このように生まれ出しているデジタル化の流れを止めることなく、先駆的な取り組みを速やかに全国展開し、人口減少や担い手不足が深刻化する中、医療・介護、子育て支援、行政サービス、地域交通などを巡る地域の社会課題をデジタルで解決してまいります。

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