日本政府が米Appleに対して義務化の方針を打ち出した「サイドローディング」。これが実現すれば、iPhone標準のアプリストア「App Store」以外からアプリを入手できるようになる一方、セキュリティ上の懸念が一気に高まるため義務化に反発する声は少なくない。サイドローディングに関する一連の疑問を関係者に直接ぶつけてみた。
スマートフォンのアプリはOS標準のアプリストア「App Store」や「Google Play」から入手するのが当たり前と思っている人も多いだろうが、それが問題だとしているのが日本政府だ。実際政府は「デジタル市場競争会議」を2019年から実施し、2023年6月16日にはそこでの議論の成果として「モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告」が取りまとめられている。
その中で政府が打ち出したものの一つが、OS標準のアプリストア以外からもアプリを入手できるようにする「サイドローディング」の義務化だ。ただ、主要なスマートフォンOSの一つである「Android」は元々サイドローディングに対応しているので、実質的にターゲットとなっているのはAppleのiPhone向けOS「iOS」である。
実際Appleは、iOS標準のアプリストアであるApp Store以外から、アプリをダウンロードすることを原則認めていない。だがそのことが、他社がアプリストアに参入する機会を失わせており競争圧力が働かないとして、政府は先の会議での議論の末にサイドローディングを義務化するという結論を打ち出したのである。
iOSのサイドローディングを義務化する動きは日本以外でも起きており、代表的なものとしては欧州連合(EU)が2023年5月に施行した「デジタル市場法」(DMA)が挙げられる。DMAでもサードパーティ製のアプリやアプリストアをインストール可能にすることが義務付けられており、日本政府の動きもそうした世界的な動きの一環となるようだ。
だがAppleは、サイドローディングによってマルウェアが入り込む余地ができ、iOSのセキュリティが脅かされるとして義務化に強く反対。ITに詳しい人達からも同様の理由で義務化に反発する声が多く聞かれる。そこで今回、内閣官房デジタル市場競争本部事務局の成田達治次長に取材する機会を得たことから、サイドローディングに関して多くの人が抱いている問題点や疑問を直接ぶつけて政府の考え方を確認してみた。
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