先日ドラッグストアに立ち寄ったとき、店頭で“28度で凍る氷”を使った冷感グッズを見掛けた。ヘッドフォンのように首に掛けられるビニール製のリングで、中に28度で凍る液体が入っているというものだ。面白そうなので買ってみた。
商品ジャンルとしては「ネッククーラー」「クールリング」などと呼ばれるらしい。筆者が買ったのは1000円程度のものだったが、Amazon.jpなどで探してみると、相場は2000円くらいのようだ。
中に入っている液体は「相変化熱対策素子」というストレートな名前。これは一定の温度で凝固・融解する素材だ。今回のネッククーラーに詰められた液体は28度で“凍る”ようにできている。
クーラーが効いている部屋なら、夏場でも勝手に凍る。融解している間は温度が一定で保たれるので、長時間28度を維持できるという理屈だ。
実際に使ってみた。28度というとそんなに冷たくなさそうに見える。実際「冷たい」という感じは一切ない。程よく“冷めている”というのが近いかもしれない。いや、冷めている(=室温程度)というよりはもう少し冷たいか……。
冷たすぎないのがちょうどいい。例えば、ドライアイスで首を冷やすと低音やけどするだろう。ただの氷で首を増やす場合も、冷たすぎると感じると思う。28度が程よい。
実際、これで冷やされた部分の肌を触ってみるとしっかり冷えている。この「しっかり冷えるが、放置していても痛くない」程度の温度感が見事だ。冷たくないからこそ、長時間首に当てていられるのがメリットといえる。
どの程度体を冷やせるかというと、「風呂上がりでちょっと体に熱がこもっているな」「エアコンがある部屋から冷気を送っているけど微妙に暑いな」……くらいに感じているときに使うと、すぐに快適になるというイメージだ。
逆に、炎天下で風も熱い状況では冷却が足りない。屋外で長時間活動するときには太刀打ちできない感じがある。弱冷房の電車に乗るときに使うとちょうどいいくらいなので、微妙に使いどころが分からない。
冷却力でいうと、あるとうれしいがなくても全然いいくらいのものなので、1000円が確かにちょうどいいかなという印象だ。これが例えば5000円だったら「5000円ならもうちょっと冷えてほしい」と思うだろう。
もう一つのメリットはぬれない点。タオルに水をしみこませて絞ったものを首に巻き付けるのもいいのだが、それだと首回りがぬれる。ぬれない程度に絞るとあまり冷えない。それがこのPCMネッククーラーなら、一切ぬれずに程よく冷える。結露するほどの温度でもない。
これが結構いい。どんな場所でも使え、じめじめもしない。不快感が一切ない。湿度が嫌いな人にはいいかもしれない。
他にも「電気を使わない」「うるさくない」など地味なメリットがある。実に地味。この点でも1000円がちょうどいいと感じる。これが例えば5000円だったら「5000円で得られるメリットとしては微妙過ぎる」と感じるだろう。
このPCMネッククーラー、最も大きなデメリットが凍らせないといけないところだ。別に冷蔵庫や冷凍庫で冷やせばすぐ凍るのだが、室温で凍らせようと思うと数時間掛かる。そもそも、PCMネッククーラーが凍る部屋ならそこそこ涼しいはずだ。
実際、凍るのを待っている間に、部屋が暑いと思ったためしがない。凍るのを待つ必要があるだろうか。確かに首に掛けている間はいい具合に冷えて満足感は高いのだが、別になくても不快感があるわけでもない。1000円がちょうどいい。しつこいが、これが例えば5000円ならいらない。
なお、これを使ってノートPCやタブレットを冷やすのはありだ。電子機器は急激に冷やすと内部で結露が発生して不具合の原因になったりするが、28度ならその恐れがない。
ノートPCの排気口に当たってしまうと、ビニールが溶ける恐れもあるので推奨しないが、「熱いってほどじゃないけど、なんかちょっと熱を持っているな」くらいの熱を冷ますのにはちょうどいいかもしれない。
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