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H-IIAロケット打ち上げ成功 XRISMとSLIMを切り離し 「世界一の装置が上がった」

» 2023年09月07日 12時20分 公開
[ITmedia]

 JAXAは9月7日、H-IIAロケット47号機の打ち上げに成功した。X線を使って宇宙を観測するX線分光撮像衛星「XRISM」(クリズム)と日本初の月面着陸を目指す小型実証機「SLIM」(スリム)を載せていた。

(JAXAの動画配信より)

 H-IIAは、7日の午前8時42分11秒に種子島宇宙センターから打ち上げられた。JAXAは打ち上げの模様をYouTubeで生配信し、多くのファンが固唾を飲んで見守った。

 14分後にはXRISMの分離に成功。さらに打ち上げから48分後にはSLIMの軌道投入にも成功した。

打ち上げ直前のH-IIAロケット
打ち上げから約14分後にXRISM分離

世界一の装置、上がった

 XRISMは、JAXA宇宙科学研究所の7番目のX線天文衛星計画。最新のX線分光装置とX線撮像装置で宇宙を観測し、星や銀河の成り立ちを明らかにするという。

XRISMプロジェクトの田代信さん
XRISMの概要

 動画配信に登場したXRISMプロジェクトの田代信さん(宇宙物理学研究系 特任教授)は、「日本のX線天文学は、1980年代のてんま、90年代のあすか、そして2010年代のASTRO-H(ひとみ)と、その時々の最先端の機器を使ってX線分光の世界一をずっと走ってきた。今度もXRISMも世界一の装置。それを使って世界で一番いいスペクトルをとり、X線天文学の世界を切り開いていきたい」と意気込みを語った。

 XRISMは今後、3カ月程度かけて観測機器を立ち上げを行う。その後は約96分に1回のスピードで地上を周回しながら天体観測を行う予定だ。

 一方のSLIMは小型軽量の探査機を使い、月へのピンポイント着陸を目指すプロジェクト。今後3〜4カ月をかけて月の周回軌道に到着。年明けには月へ降下する見通し。着陸に成功した後は、マルチバンド分光カメラや小型探査機を使って月面の調査を進めることになっている。

SLIMの外観
変形する月面ロボット「SORA-Q」も搭載している

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