実際に使ってみた感想は「慣れれば非常に便利だと思うが、慣れるまでが非常にしんどそう」だ。あえてネガティブな点から話すが、まずGrabShellはややサイズが大きすぎるように感じた。記者は26歳男性で、手のサイズは同条件の男性と同じか少し小さいくらい。しかしキーボード全体を包み込むことができず、奥の方のキーは手首を動かして位置を調整しないと押せなかった。
にも関わらずキーはスイッチが若干浅めで、意図しないミスタイプが発生しやすいように感じた。ただでさえキーの位置がいつもと違うので、思ったキーを思ったように押せないことが多かった。
もう一つ気になった点がある。少し重いことだ。重量約1kgで、裏面のキーも押さなくてはいけないので、手の甲を机などに置いて操作はできず、安定しない。キーのない下面を置くか、肘で腕全体を支えて使わなくてはいけないので、あまり快適ではない。記者はGrabShellで文字を打つだけでなく「Minecraft」もプレイしたが、持ちやすさだけでいえばXbox用コントローラーなどの方がよっぽどいい。
ただし、一連の問題を乗り越えられれば、GrabShellは非常に便利なツールになるとも思った。特にゲームにおいては便利そうだ。記者も椅子に座りながらマウスとキーボードでゲームを遊ぶことが多いが「マウス&キーボードの操作を寝転びながらできれば便利なのにな」とは常々思っていた。
GrabShellならこれに近いことができる。取っ手部分を床やベッドに置けば重さの問題は解決するだろう。記者は背面ボタンの多いコントローラーが便利で好きなので、変わったキーボードではなく「裏面に大量の背面ボタンがあるコントローラー」と思えば慣れられそうだ。
キーの位置に慣れない、ミスタイプが多いという問題も試行回数で解決はするはずだ。開発元のdotBravo(静岡県富士市)はGrabShell用のタイピング練習ソフトを提供しているし、キーマップ設定を変えればある程度は使いやすくなる。同社のスタッフもGrabShellで難なく文章を入力していたので、不可能ではないのだろう。
ただ、やはり使いこなせるようになるまでが大変だと思う。少なくとも記者は10分程度の体験では使いこなせなかったし、恐らくは多くの人々が自分と同じのはずだ。
dotBravoの白井斗真さん(マーケティングディレクター)によれば、GrabShellは記者のように「寝ながらキーボードを使いたい人」をターゲットにした商品という。ただし、ゲーマーに限らずITエンジニアの利用も見込んでいる。さらに「目の前に画面があるのに、わざわざキーボードを机の上に置く必要はない」として、ARグラスなどとも相性がいいとしている。
売上についても好調という。GrabShellは2月から予約販売しているが、ある程度の台数が予約されたため、9月21日からは販売形態を変更。ECサイトで通常販売している。「詳細は伏せるが、通常販売に切り替えても利益が見込める程度には人気があったため、販売形態を変えた」(白井さん)。ただし予約販売分が10月上旬の発送になるので、当面はすぐに購入できず、最速で10月下旬の発送になるという。
一方で、すでに本体の改良についても検討していると白井さん。まだ具体的な形にはしていないものの、東京ゲームショウなどの展示会で得られたフィードバックを基に、話し合いを進めている段階という。
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