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記者会見が全国民に精査される時代、ジャーナリズムに変化は起こるか小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)

» 2023年10月16日 16時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 昨今行われたジャニーズ事務所の計2回の記者会見は、各メディアがネットでライブ配信したこともあり、現場の取材記者の態度、ひいてはジャーナリズムの在り方が大きく問われることとなった。

昨今さまざまな記者会見の様子が配信されてきたが、ジャニーズ事務所の会見はターニングポイントになりそうだ

 筆者はライターとして記者会見に出席する側であると同時に、インターネットユーザー協会代表理事として記者会見を主催したこともあり、両方の立場を経験している。今回はその立場から、そもそも記者会見とは一体なんなのか、またそれがネットにそのまま出て行くことでジャーナリズムはどうなるのか、といった話をしてみたい。

 そもそも記者会見とは、報道陣を集めてまとめて説明を行なうことで、膨大な数発生するであろう個別取材への対応を効率化するための手段である。主には、新製品発表や新会社設立、芸能人の結婚などのポジティブな案件と、不祥事に対する釈明・謝罪といったネガティブな案件に分けられる。ちなみに謝罪のために記者会見を行なうのは日本と韓国だけという話をどこかで読んだことがあるが、独特の謝罪文化があるという点ではそうなのかもしれない。

 ポジティブな会見は実質的には発表会、もしくは報告会であり、企業の広報担当や広報代理店が仕切るケースが多い。会前段の発表部分がメインだが質疑応答もあり、主催者側はもっといろいろ聴いてほしいという立場である。

 一方ネガティブな会見はリスクマネジメントの一環であり、専門のコンサルティング会社が仕切るケースが多い。前段の主催者側の説明では、聴かれたくないことは当然自主的には話さないことになり、後半の質疑応答が主戦場となる。そこでその「聴かれたくないこと」をどう説明するのか、事前に想定質問を作って回答も事前に用意する。法的リスクを回避するため、弁護士が同席するケースも多い。

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