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「だまされてもいい……」出会いはSNS 拡大するロマンス詐欺の被害者心理(2/2 ページ)

» 2023年11月16日 08時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞
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被害を認めたくない 被害者の心理は

 ロマンス詐欺の本当の恐ろしさは、相手への恋愛感情が入り交じり、被害そのものを認識しにくい点といえる。被害者の大半は、家族らに促されて半信半疑で警察に来るという。

 捜査関係者によると、被害届を出した後でも相手に連絡を取ろうとする被害者も珍しくない。「彼が幸せなら」「だまされてもいい」。恋愛感情が根底にあると、なかなかだまされたと認めたくない心理も働きやすい。

 国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた暗号資産投資に関する相談件数は、2022年度は5617件。SNSやマッチングアプリを通じて投資に勧誘されるパターンが目立つといい、担当者は「面識のない相手からの勧誘には慎重になってほしい」と呼び掛ける。

好意の醸成はネットの方が有利? だまされてしまうワケ

 しかし、なぜ人は直接会ったこともない人物をこうも信頼してしまうのか。インターネット関連トラブルに詳しい成蹊大の高橋暁子客員教授が挙げるのが、SNSを通じた出会いの一般化だ。「最近の調査では婚姻のきっかけの5分の1がマッチングアプリ。コロナ禍もあり、ネットで知り合うことが当たり前になって抵抗がなくなっている」と話す。

 信頼感や好意の醸成をめぐっては、現実のやり取りよりもネットのほうが有利との指摘もある。「リアルではいきなり悩みや秘密を打ち明けることは難しい。それがネットだとしがらみがない。自己開示効果が働き、心理的な距離が近くなると、相手が大切な存在に思えてくる」(高橋氏)

 考えられる対策の一つが、日ごろからニュースに接する機会の確保だ。「ニュースで典型例を知っていれば『これもそうかも』と気づける」と高橋氏。もちろん親から子供への対話も有効といえる。「親御さんがニュースを見て、『こういうのがあるが大丈夫か』と子供に話す。これも効果的です」(荻野好古)

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