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「だまされてもいい……」出会いはSNS 拡大するロマンス詐欺の被害者心理(1/2 ページ)

» 2023年11月16日 08時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 SNSなどを通じ、暗号資産や外国為替証拠金取引(FX)への投資に勧誘されるトラブルが増えている。ただその入り口の多くが、ある古典的な手法から始まることが分かっている。外国人を装い、恋愛感情を抱かせて金を詐取する「ロマンス詐欺」だ。SNSを介して言葉巧みに近づいては、現実(リアル)を超えた間柄になってしまう──。そこに潜む悪意をどう見抜けばいいのか。専門家に対策を取材した。

10万円が11万円に ロマンス詐欺の手口

 「あなたを偶然見つけた。私は日本が好きです」

 6月、京都市伏見区の女性会社員(31)のSNSアカウントに突然メッセージが届いた。送信者は韓国人男性を名乗る「dan」。企業の代表をしていると明かしたdanに、女性は次第に好意を抱くようになった。「銀行にお金を預けるのは危険だと思う」と暗号資産への投資を持ち掛けられても、「私のことを心配してくれてるんだ」としか思わなかった。

 試しに10万円を振り込んだ。すると11万円になって返ってきた。完全にdanを信じ込んだ女性は、言われるまま200万円以上を振り込んでしまった。

photo 男性に台湾人女性を名乗る人物から送られてきたという写真(京都府警伏見署提供)

 ロマンス詐欺の被害者は性別を問わない。同じ6月、伏見区の男性会社員(51)のSNSアカウントをフォローしたのは、台湾人の女性を名乗る人物だった。自身の顔と称した写真を送るなどアプローチしてくるその人物に、男性が既に交際相手がいることを伝えると「それでもいい。友達でも十分です」。

 相手のそんな態度にほだされてしまった男性。暗号資産の投資に勧誘されると、指示されたアプリをインストール。そこに1000万円分以上をつぎこんだ。しかしアプリは偽物で、利益が出ているように見えたのは画面上の見かけに過ぎなかった。

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