カードの値段は需要と供給によって決まりますが、この「需要」には大きく分けてコレクター需要とプレイヤー需要があります。
ポケモンカードゲームでは、約1年周期でスタンダードレギュレーション(多くの公式大会で採用しているルール)が変更され、約3年前に発売されたカードを使用できなくなります(いわゆる「スタン落ち」)。直近でも2024年1月26日から、21年ごろ発売のカードが使用できなくなることが発表されました(一部のルールを除きます)。
ちなみに「スタン落ち」の有無はゲームによって異なります。例えば「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ」(遊戯王カード)では「スタン落ち」はありません。
このような背景から、スタンダードレギュレーションで使用できないカードはプレイヤー需要が大きく落ち、基本的には価格が下がります。他方で、もともとプレイヤー需要の高くない(効果が強いわけではない)カードで、イラストに人気のあるコレクター需要の高いカードは、価格が下がりにくい傾向にあります。むしろ希少性によって値段が緩やかに上がることもあります。
ポケモンカードゲームで1枚100万円を超えるようなカードは、スタンダードレギュレーションでは使用できないカードです。つまりコレクター需要が高く、かつ、供給が少ないカードが多いです。
例えば、4月に大行列でニュースになったパック「クレイバースト」の最も高額なカードは「ナンジャモ」のレアリティ「スペシャルアートレア(SAR)」(クレイバースト版)です。このカードはプレイヤー需要・コレクター需要こそ高いものの、いまだ供給があるので、フリマアプリなどでは約10万円前後で取引されているにとどまります(それでも十分に高額ですが)。
またスタン落ちにより価格が下がる例として、「バトルVIPパス」というカードがあります。こちらは、大会で使用されるほぼすべてのデッキに入っているカードで、プレイヤー需要が非常に高いカードでした。キャラクターのカードではなく、コレクター需要はほぼありませんが、再録がなく供給が少なかったため、低いレアリティでありながら一時期1枚2000円近い金額で取引されていました。
ただ、1月からはスタン落ちによって使用できなくなることと、直近に再録されたことも重なって、現在では1枚300円未満でも取引されています。
「カードがそんなに高くなったら子供が遊べないのでは?」という質問を受けることもありますが、そのようなことはありません。ポケモンカードは、同じカードに、高レアリティと低レアリティを設ける仕組みで販売されているためです。
上記のナンジャモにも、スーパーレア(SR)、アンコモン(U)のレアリティ版があり、全て同じ効果ですので、低レアリティ版を入手すれば問題なくプレイ可能です。ナンジャモは効果が強力で、デッキ構築に必須級のプレイヤー需要の高いカードですが、Uのレアリティ版は、再録も多く、100円前後で購入可能です。
ちなみに、Uは1パック(基本は5枚入り)に1〜2枚程度、SRは1BOX(基本は30パック)に1枚程度、スペシャルアートレア(SAR)は、数BOXに1枚程度の封入率といわれています。
上記のナンジャモにも、SR、Uのレアリティ版があり、全て同じ効果ですので、低レアリティ版を入手すれば問題なくプレイ可能です。ナンジャモは効果が強力で、デッキ構築に必須級のプレイヤー需要の高いカードですが、Uのレアリティ版は、再録も多く、100円前後で購入可能です。
その意味で「高額で子供が遊べない」という報道は、やや実態には沿わないように思います。むしろ他のトレーディングカードに比べて流通量が多い為、ポケモンカードゲームは、シングル価格は低く遊びやすい印象です。
どちらかといいますと、プレイヤーとしては、トレーディングカードゲームの醍醐味(だいごみ)である「パックを購入して開封する楽しみ」を味わいづらい点が、少し寂しく感じるところです。受注販売や増産などの対策により、一時期より状況は改善してきていますので、今後、子供も含めた全プレイヤーがさらに気軽にパックを購入できるようになることを楽しみにしています。
それでは、現在ポケモンカードにおいて発生している問題について紹介し、法的な観点から検討してみましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR