この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「ジュニパーネットワークス、HPEによる買収合意を正式発表、約2兆円で」(2024年1月10日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Juniper Networks(以下ジュニパー)と米Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、ジュニパーがHPEに約140億ドル(1ドル140円換算で1兆9600億円)で買収されることに合意したと発表しました(HPEの発表、ジュニパーの発表)。
ジュニパーをHPEが買収する交渉が行われていることはすでに報道されており、ほぼその報道通りに買収が決定しました。
HPEはこの買収により、ネットワーク分野での充実した製品群を提供できるようになると、プレスリリースで次のように説明しています。
Together, HPE and Juniper will provide customers of all sizes with a complete, secure portfolio that enables the networking architecture necessary to manage and simplify their expanding and increasingly complex connectivity needs.
HPEとジュニパーの組み合わせは、拡大し複雑化するコネクティビティへの要求に対応した管理と簡素化を実現する、ネットワークアーキテクチャのための完全かつセキュアな製品群を、あらゆる規模の顧客に対して提供します。
買収はジュニパーの株主や規制当局からの承認などを経て、2024年末から2025年初頭に完了する見通しです。
HPEは、もともと大規模な商用サーバからパソコン、プリンタまで扱っていた総合IT企業であったHewlett Packerd(HP)が、2015年11月1日付けでサーバやストレージなどのエンタープライズ向け事業を行う「Hewlett Packard Enterprise」(HPE)と、PCやプリンタなどの事業を行う「HP Inc.」(HP)の2社に分社化されたことで発足した企業です。
現在ではデータセンター向けにサーバ、ストレージ、ネットワーク機器などの総合的な製品ラインアップを揃えています。
しかしHPEとしては、ジュニパーが提供しているようなデータセンター向けの高性能なスイッチやルータなどの分野ではネットワーク機器専業ベンダに後れを取っていました。
特にこれからAI分野が発展してくると、データセンター向けの超高速なネットワーク機器の需要が高まると予想されているため、データセンター向けの総合的なソリューションを提供することを目論むHPEとしては、この分野の補完を迅速に行う必要があると見られていました。
一方でジュニパーはネットワーク機器大手の一角に食い込んでいるとはいえ、同社の競合である米Ciscoがサーバなども含めたデータセンター向けソリューションを提供できるラインアップをそろえているため、同社にもネットワーク機器だけでない幅広い製品ラインアップの充実が望まれていたと考えられます。
今回のジュニパーの買収は、そうしたHPEの戦略のAI時代に合わせた戦略と、ジュニパーの製品ラインアップ充実のニーズが組み合わさった結果ではないかと考えられます。
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