ITmedia NEWS > 社会とIT >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

「VTuber×生成AI」ビジネスの可能性 ホロライブ運営企業の代表は「考えていない」 その理由は?(2/2 ページ)

» 2024年01月30日 18時19分 公開
[松浦立樹ITmedia]
前のページへ 1|2       

 なぜVTuberへのスパチャは減少傾向なのか。谷郷さんは「昔はスパチャしか応援の手段がなかったためではないか」と自身の考えを明かす。一方で今は、そのタレントのグッズやサブスクライブを購入するなど、複数の手段が存在している。

 「ファンがスパチャを贈る理由には『タレントに自分の名前を覚えてもらう』という側面もあったが、チャンネル登録者数が100万超えたタレントではそれも難しくなっている。一方でそれ以外にも応援の方法が広がっているため、よりコストパフォーマンスの高い手段に切り替わっているのではないか。当社のビジネスが黎明期から進んでいった結果だと思う」(谷郷さん)

VTuberのコンプラ意識 「啓蒙活動が重要」

 同社は24年1月、所属VTuberの夜空メルさんとの契約解除を発表している。理由は「カバーとのやりとりや機密情報を第三者に漏えいする契約違反行為を確認したため」と説明。VTuberビジネスにはタレントのコンプライアンス意識などのリスクもまとわりついている。

VTuber・夜空メルさんが情報漏えいで契約解除に

(関連記事:VTuber・夜空メルが契約解除に ホロライブ運営「機密情報の漏えいなどがあったため」

 この課題については、谷郷さんは「会社としての教育が必要」と話す。同社のタレントには社会人経験が少ない、あるいは経験がない人もいるという。今後も、より若い世代への認知が進むことで、社会人経験を持たない人たちがカバーのVTuberになることも増えていく可能性があると説明する。

 「『社会人経験がないまま、VTuberになる人』は、一般の人に比べると常識に欠ける部分もあるかもしれない。ゆえに、会社としてはできる限り準備期間を作って事前教育を行う、また定期的な注意喚起を行うなどの啓蒙活動が重要だと思っている。当社の危機管理チームを通してそのような活動をしていきたい」(谷郷さん)

 また、同社ではモデレーターが、ライブ配信活動を24時間監視することで、タレントの失言やタレントへの誹謗中傷などがあった場合に即時対応できる体制を整えているという。これにより、度が過ぎた誹謗中傷には法的対応を取る場合もある。他にも、疲れを感じているタレントには長期休暇を進めるなど、メンタルケアにも注意を払っていると、谷郷さんは説明した。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.