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終わるようで終わらない「AMラジオ」の世界小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)

» 2024年02月13日 15時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

ワイドFMはなにで聴けるのか

 この周波数が受信できるのはどういうラジオかというと、当然「ワイドFM対応」と書かれているラジオと言うことになる。特にワイドFM対応だからといって高額になるわけでもなく、最近のラジオなら大抵対応しているようだ。だがもし買われるなら、一応ワイドFM対応の有無を確認してほしい。

 お手持ちのラジオが対応しているのかわからない時は、ラジオのチューナーボタンを上の方に向かってダダダーッと連打していただいて、数字が「90.0」で止まったら残念ながら対応していない。カーナビと一緒になっている車載ラジオで、2014年以前のものは対応していない可能性が高い。

 カーナビ一体型となると、ワイドFMのために新モデルに付け替えるというのはなかなか大変だ。そこでこうした車載ラジオ用に「ワイドFM用周波数コンバータ」というのがある。これはアンテナ線の間に挟み込んで、周波数を一定量シフトさせるという働きをするもののようだ。つまり90MHz以上の帯域も一定量下にずらしてしまえば、従来チューナーの受信範囲に収まるという事のようである。

 実際筆者は使っておらずネットで調べた限りの話で恐縮だが、全体を下げてしまえば通常受信できていた放送局が下の方へ押し出されてしまう可能性もあるわけで、地域によってはなかなか上手い具合にいかないところも出るだろう。

 一方ワールドワイド対応のラジオであれば、古いものでも受信できる可能性が高い。日本のFM放送周波数は上記のように76.1〜90.0MHzだが、海外のFMはだいたい87.5〜108MHzの範囲だからである。従って地域設定を日本以外、アメリカやヨーロッパに設定できれば、90MHz以上の拡張された範囲は聴く事ができるはずだ。

 筆者の手元には、「Gemini PDA」というキーボード付きAndroid端末がある。これがFMチューナーを内蔵しているものの、日本仕様ではないのでこれまでFMが聴けなかった。だがワイドFMがスタートしたことで、AMのサイマル放送している90.4MHzのMRT宮崎放送を聴く事ができた。

 また2009年に発売された第5世代以降のiPod nanoにも、FMチューナーが内蔵されている。これも国の設定を変更することで、ワイドFM拡張領域の放送が聴けるはずだ。

iPod nanoでもFMラジオを聴くことができる

 BluetoothスピーカーにもFMチューナーが搭載されているものがそこそこある。意外にラジオに注力しているのは、JBLだ。現行モデルとしては、JBL Wind 3、JBL Tuner 2 FM、JBL Horizon 2 FMの3モデルでワイドFM対応チューナーを搭載している。

 ちょっと変わったところでは、小中学生の電気工作教材として販売されている組み立て式ラジオも、ワイドFM対応になっている。災害対応として手回しハンドルによるダイナモ発電などが可能な教材を作ったことがあるという人もあるかと思うが、昨今の教材はかなり様変わりしている。

 ワイドFMは、知らないところで意外に拡がっている。

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