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マインクラフトのプレイ映像……?→実は生成AIが作った“偽動画” OpenAIの「Sora」に驚きの声相次ぐ(1/2 ページ)

» 2024年02月16日 20時49分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 米OpenAIが発表した動画生成AI「Sora」がX上で話題になっている。同社が2月15日(現地時間)に突如発表したもので、プロンプトで指示するだけで最長1分ほどの動画を作れるという。サンプルとして「ゲーム『Minecraft』を再現した動画」など複数の映像を公開しており、そのクオリティーの高さにXでは驚きの声が相次いでいる。

マインクラフトのプレイ映像に見えるが、じつは生成AIが作ったフェイク動画

 例えに出したMinecraft風の動画は、ゲーム内と同じ一人称視点で、木や草が生えるフィールドを探索する約20秒の映像だ。もちろんゲーム内の映像ではないが、ブロックで構成された世界やUIなど、一見すると破綻した部分がなく、ほとんどMinecraftのプレイ動画そのままに見える。

マインクラフトを再現した動画のワンシーン

 他の映像も同様だ。例えば電車から住宅街を眺めるサンプル動画では、ガラスに映りこんだ撮影者らしき影まで再現されている。人間の目をアップで映したような15秒ほどのサンプルは、まばたきしてもまつげやまぶたが溶け合ったり、急に瞳の色が変わったりすることなく、再生時間を通して同一性を保っている。

電車の映像ではガラスに映りこんだ撮影者らしき影まで再現
人間の目をアップで映した動画のワンシーン

 一連の動画はXでも話題だ。「これやばすぎ。常識が覆る」「OpenAIの動画生成AI恐るべし」「Soraはいまだに信じられない気持ちで見ている」など驚きの声が上がった。一方で、よく見るとおかしなところもあるという声も。例えばMinecraftの動画では、動物の動きやUIの一部が本物と異なると指摘する人がいた。

 実際、サンプルの中にはよく見ると現実のものではないと分かるものも少なくない、例えば街並みを映したサンプルでは看板の文字が破綻しているし、犬が雪の中で遊ぶ映像では、雪がありえない方向に飛んでいっている。

サンプル動画のワンシーン よく見ると後ろの看板の文字がおかしい

 とはいえ、一見ではAIが作ったと分からない、もしくは人の手であえて加工したように見える映像も多く「悪用される未来しか見えない」「詐欺に使われそう」「AIの技術がここまで進むとエンタメかいわいがどうなるのか少し心配」など、危機感を示す声もある。

 また、OpenAIのサム・アルトマンCEOは自身のXアカウント(@sama)で、他ユーザーからプロンプトを募り、それを入力して生成した動画も公開している。

動画生成AIの行く末は「現実世界のシミュレーター」か

 OpenAIは、Soraを「Video generation models as world simulators」(ワールドシミュレーターとしての映像生成モデル)と表現。動画生成にとどまらず「動画生成モデル開発を進めていくことで、現実世界のシミュレーターを作るための有望な手段になることを示唆する」とし、物理演算エンジンの側面も持つとしている。Minecraftのようなデジタル世界も、シミュレーション可能な一例として公開したという。

 一方、現状のSoraには「ガラスが割れるなどの基本的な物理原則を正確にモデル化していない」「食事するシーンの場合は、オブジェクト(食べ物)が常に正しく変化するわけではない」などの問題点もあるという。

 15日時点で、Soraは一般公開していない。OpenAIは「悪用リスクは全て予測することはできない。だからこそ、時間をかけて検証して、安全なAIシステムを作った上でリリースすることが重要だと考えている」と説明している。

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