2025年大阪・関西万博に向けて、万博のテーマと合致した健康・医療分野を中心に、スタートアップ(新興企業)や中小企業の参画を促す動きが活発化している。地元経済発展の後押しになるとして、大阪商工会議所などがさまざまな取り組みを展開。万博開催で国内外の関西への注目度が高まることから企業にとってはチャンスだ。ただ、関西では中小零細企業の倒産が増えるなど事業環境が厳しくなっていることも見逃せず、万博後も見越したサポートが求められる。
「オフィスで健康な体をつくり、仕事を辞めても社会とつながり続ける。万博を機に、誰も孤立しない世界にしたい」
2023年12月、大阪市内で開かれた大商主催の万博出展者を決定するイベント。主に50代の「プレシニア」層向けに、転倒予防や筋力アップを図るAR(拡張現実)のバランスゲームを手がける企業「RASCAL’s」(ラスカルズ、京都市)の山本哲史社長が熱弁を振るっていた。
「未来のウェルネスピッチ」と題し、大阪府市の「大阪ヘルスケアパビリオン」への出展権をかけ、健康・医療分野に強みを持つ新興・中小企業によるプレゼンテーションが行われた。原則として関西に拠点を持ち、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に合った事業を行っている48社が、それぞれの独自技術や万博出展までの事業展開のスケジュールについて説明した。
会場は、万博関係者やビジネスパートナーを探そうとする企業関係者など約250人が詰めかけ盛況。選考は医療関係者やビジネスコンサルタントなどの専門家が担当し、技術のユニークさや大胆さ、課題解決の実現性、新規性などの観点から審査した。選ばれた32社は万博開催期間中、大商の展示ゾーンで2グループに分かれて1週間ずつ展示を行う。
大商の鳥井信吾会頭(サントリーホールディングス副会長)は「万博での展示を経て、世界市場を目指して羽ばたく企業が誕生することを願っている」と期待。展示方法については、単なる技術や製品の紹介にとどめず、舞台で製品を使う様子を演じてみせることも検討しているという。
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