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「2024年は生成AI飛躍の年」──日本マイクロソフトが予告 推奨するのは“AIの筋トレ”(2/3 ページ)

» 2024年02月29日 12時00分 公開
[石井徹ITmedia]

 (2)はその次のフェーズを指し、Copilotの活用を始めた企業には、その次に「独自のCopilot」の実装を勧めている。Microsoftが提供するAIプラットフォーム「Azure AI」では、オリジナルの生成AIサービスを構築できる「Copilot stack」というツール群を提供している。

 この中には、ソフトウェア開発の知見が少ない業務担当者向けツール「Copilot Studio」もあり、自社専用の生成AIをローコードで実装できるという。Copilot Studioは2月20日から、日本語のユーザーインタフェースが利用可能となった。基調講演でも、4分間でチャットbotを作成するデモンストレーションを披露して、その簡単さをアピールした。

 (3)について、沼本さんは「AI基盤には、サービスの性質上、機密となるデータを扱うため高い信頼性が求められる」と指摘。「エンタープライズレベルのセキュリティ保護やコンプライアンス体制の確立もサポートできるMicrosoftのAzureは、その役割に適任」と続けた。

 Azure AIはすでに世界で5万3000社の企業が採用しているという。日本の導入社数も数千に上り、トヨタや日立製作所、3大メガバンクグループなどの大企業も導入している。イベントでは、Copilot for Microsoft 365やAzure AIを先駆的に活用する企業として、本田技研工業とサイバーエージェントがゲストとして招かれた。

生成AIで日々の業務を効率化、意思決定に集中

 本田技研工業は、Microsoft Copilotをいち早く導入した大企業の1つだ。イベントでは、同社デジタル統括部長の河合泰郎さんが登壇。自社の事例を紹介した。

本田技研工業デジタル統括部長の河合泰郎さん(左)とMicrosoftの沼本さん(右)

 同社は自動車企業として、業務プロセスやシステムの改善を日々進めている。一方、個々の従業員が日々業務で蓄積するデータ(例えばメールやドキュメントなど)は、再活用の対象になっていなかった。これらのデータをMicrosoft Copilotを利用して、データとして管理しようとしている。

 河合さんは「生成AIができることは、3つのレイヤーで捉えている」と話す。1層目がChatGPTに代表されるインターネット上の知見を集約したレイヤー、2層目は企業の日々の業務の中で生じた知識や情報を蓄積したレイヤー、3層目は企業内の専門家が意図をもって集積した専門知のレイヤーだ。

 企業の競争力維持という観点では、3層目の専門知のレイヤーを重要視しているというが、実際にCopilotを全社で導入してみて、2層目の業務情報のデータ活用は侮れないことに気付いたという。

 「日々の業務で従業員個人が蓄積するデータ、言い換えると“非構造化されたデータ”は、チーム横断で活用するのが難しかった。しかし、Copilot for Microsoft 365の導入によって、OutlookやTeamsなどのデータを管理できるようになった。これによって、日々の業務の効率化が可能となり、人間がするべき意思決定などの業務に注力できるようになる」(河合さん)

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