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通信品質は本当に改善したのか? ポジティブな話題が少ない「ドコモのいま」房野麻子「モバイル新時代」(2/3 ページ)

» 2024年03月01日 18時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

ポジティブな話題が少ないドコモ

 ドコモの親会社であるNTTの決算会見では、「NTTドコモのネットワーク品質に嫌気が差してやめた人など、契約者数の影響はあったか」というメディアからの質問に対し、NTT島田社長が「あまりいないんじゃないかと思っている」と回答。これがXなどで拡散し「今の状態で危機感持ってないことにびっくり」「ドコモと決別する決心がついた」など反論の声が出てきたほどだ。

島田社長の発言にXでは反論の声も

 アプリを活用する調査と改善は始まったばかりなので、ドコモ自身も今回の対策で十分とは思っていないはずだが、集中対策が宣言通り進み、春商戦に突入する時期にネガティブな要素をつぶしておきたかった面もあったのではと推測する。

 というのも、最近のドコモはポジティブな話題が少ない印象があるからだ。先日発表された23年度第3四半期決算は増収増益で、業績は悪くはないが、ソフトバンクは今期上方修正、KDDIはARPUが上昇しているなど、他社が料金値下げからの回復、上り調子をアピールしているのに対して、ドコモはまだ停滞している印象が拭えない。

 確かに島田社長の言う通り、通信品質の低下で影響が懸念された解約率は上がっていないが、ARPUは前四半期から10円低下。これは23年7月から始まった低容量低価格プラン「irumo」の影響が大きいとのことなので、ARPUの低調はまだ続く可能性がある。他社はすでにサブブランドが定着し、KDDIはメインのauブランドで使い放題プランの選択率が8割超、UQ mobileでも中大容量プランの選択率が7割超となっており、ARPUはむしろ上昇傾向だ。

KDDIの通信ARPUは上昇傾向。メインブランドのauは使い放題プランの選択率が8割を超える。

 ドコモのスマートライフ事業の減益もやや気になる点。スマートライフ事業は通信以外の金融・決済や映像・エンタメ、電力事業などを含むが、同様のセグメントで他社は着実な成長を見せている。また、ユーザーの解約抑止を狙ってポイントや金融サービスと連携した料金プランも提供している。ドコモはマネックスグループ、マネックス証券との業務提携を24年1月から開始しているが、金融サービスとの連携で他社に一刻もはやく追い付かなくてはならない。

ドコモの23年度第3四半期の営業利益。スマートライフ事業が減益

 能登半島地震の災害対応では、移動基地局車をはじめとする充実した設備にさすがと思わせられる部分も多かったが、KDDIのStarlinkアンテナの活用が目立っていたように感じる。

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