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収益目当ての便乗投稿「インプレゾンビ」横行 地震直後にSNSで偽救助要請、大半は海外(1/2 ページ)

» 2024年03月04日 18時57分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 能登半島地震の直後、交流サイト(SNS)上には被災者を装って救助要請するなど悪質な投稿が相次いだ。ほとんどが閲覧数(インプレッション)に応じた収益を狙う投稿者「インプレッションゾンビ」の仕業とみられ、大半が海外からの投稿だった。1日で地震から2カ月。こうした偽情報は迅速な救助活動の妨げにもなり、政府も対策を急いでいる。

photo Xで閲覧数に応じた収益を狙う海外のアカウントとみられる「インプレゾンビ」の投稿(Xのスクリーンショット) ※一部画像処理しています

 《息子がタンスの下に挟まって動けません。私の力では動きません。頼みの綱がXしかない。助けて》

 元日の地震直後、Xには石川県七尾市の実在する住所地とともに、救助を求める内容が日本語で投稿された。少なくとも20以上のアカウントがこの投稿を拡散し、中には36万回以上閲覧されたケースも。海外のアカウントにも全く同じ文面の投稿が散見された。

 この住所地には40代女性が住んでいたが、女性に息子はおらず、すぐに偽情報と判明。女性宅は被災したが被害は小さかった。ただ、投稿をもとに通報を受けた警察は、女性宅を訪問するなど確認に追われた。

 これ以外にも虚偽の救助要請に基づき、消防が出動したケースが少なくとも2件あった。

Xの仕様変更が影響

 偽情報への対策について、総務省はインターネット事業者らも参加する検討会で議論を進めている。2月22日の会合に出席したLINEヤフーは地震に絡み、偽情報を含む不適切な投稿1821件を1月末までに削除したと説明。偽情報とすぐに判断するのが難しいケースもあり、「具体的な情報交換の枠組みがあれば」と訴えた。

 偽情報の拡散は2011年の東日本大震災でも確認。16年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」とのデマを投稿した男が偽計業務妨害容疑で逮捕された。

 それでも偽情報の投稿が相次ぐ背景について、防災・危機管理サービス会社「スペクティ」(東京都)の村上建治郎社長は「23年夏以降、Xの仕様変更で、閲覧数に応じて投稿者に収益が分配されることになった影響が大きい」と指摘する。

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