住宅メーカーのパナソニック ホームズでは2019年から、ビジネスチャットツール「LINE WORKS」を使ったデータ活用に取り組んでいる。やりたかったのは、それまで手間がかかってできていなかった“社員の活動実績のデータ化”だ。
同社ではもともと手書きの日報で業務報告をしていたが、社員の動きを正確に把握することができていなかった。改善のためExcelで専用ひな型も用意したが、それでも思うような成果は出せなかったという。
情報システム部門に当たる情報企画部の石井功部長は「例えば営業職の社員がExcelで日報を入力しようとすると、一度会社まで戻る必要があった。そこからPCを起動し、Excelを立ち上げて活動実績を入力するには10分程度の時間がかかる。この作業が手間であると社員間で不評であり、どうにかしたいと考えた」と説明する。
そこで注目したのがLINE WORKSとbotを利用した仕組みだった。これがこれまで以上に社員に好評な上、活動実績のデータ化にも成功。さまざまな成果を得られているという。データ活用導入の旗振り役を担った石井部長に話を聞いた。
事業にデータ活用を取り入れる企業が増え「業務効率化に成功した」という声も聞こえるようになってきた。一方、全ての企業で成果が出ているわけではなく、成功までに前途多難な道を進む企業も少なくない。本特集では、データ活用×組織にフォーカスし、データ活用に成功する組織形成に必要な要因を探る。
同社では社員に支給しているiPhoneやiPadにLINE WORKSを導入し、社内の基幹システムが持つ組織情報や顧客情報などを連携させた。LINEのトーク画面でbotとやりとりするだけで日報の入力ができる。所要時間は約1分で十分だ。
営業成績の良い社員のデータを見れば、その活動内容を把握できる。それを参考にすれば、上司は部下に対して根拠に基づいた助言ができ、社員のスキルアップに一役買っているという。
各拠点の活動実績を比較すれば、本部がより適切にリソース配分することもできる。社員としても、会社でPCを起動せずとも日報の入力が可能になり、社内の働き方改革にも寄与した。
さらに、顧客とのコミュニケーションにも良い影響を与えているという。LINE WORKS導入後、コロナ禍で顧客とのオフラインでのコミュニケーションが難しい状況となった。そのため、LINE WORKSのトーク機能を使った接客を実施した。このコミュニケーションの方法が顧客から好評だったと石井部長は説明する。
「家を建てるとき、客は営業担当だけでなく、設計や現場監督、外部業者などともやりとりをする。そのそれぞれに同じ話をしなくてはならないことが多く、ストレスの一因になっていた。だが、LINEのトークで会話することで内容を各担当に共有できるようになった」(石井部長)
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