LINE WORKS×botの導入と並行して、石井部長は社内の組織改革にも着手した。重要視したのは現場との情報をやりとりするための仕組みだ。「データ活用を浸透させるために、ペインとゲインを重要視した。データ活用ができていないという会社のペインを解決するために、現場の困りごとを解決する付加価値をゲインしたいと考えた」と話す。
そこで新しく「業務改革推進部」という、現場からの意見を集約する部門を立ち上げた。人員構成は情シス部門から半数、残りは営業や建築、設計、経理などの部門から1人ずつ兼部で参加する形をとった。「せっかく意見を集約しても、各職能の社員が参加しなくては情シス中心の話になる。だから兼務させ、それぞれの職能の立場からの意見を取り入れられる仕組みを作った」と石井部長。
また、本部以外の各拠点には「着工完工推進責任者」という役割を持つ人材を配置。その責任者が各現場の悩みなどの意見を吸い上げ、業務改革推進部に報告する仕組みを敷いた。大事なのは、良いシステムを作ることではなく使ってもらうこと。それを考えるのが情シスの仕事であるとし、本部と現場でギブアンドテイクの関係を目指した。
「データ活用を根付かせるには、社内全体でマインドを醸成することも重要だが時間がかかる。スモールスタートでもいいからデータ活用の事例を見せることが手っ取り早い。だからボトムアップで取り組んでいくことは非常に重要だと思う。小さな事例からでも恩恵が得られれば、要望や予算は増えていく。それを続けていけば、どこかで経営層の理解が得られるポイントが必ず訪れる」
パナソニック ホームズでは現在、さまざまなデータがたまりつつあるという。次に目指すのは複数のデータを掛け合わせ、成功事例を生み出すスピードを上げていくこと。将来的にはAIツールの導入も視野に入れており、学習データの選別にも取り組みたいとしている。
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