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米OpenAI、“イーロン・マスク氏の訴訟”に反論 メール文面も公開 “Open”の意味も明らかに

» 2024年03月06日 13時42分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 米OpenAIは3月5日(現地時間)、米国の実業家であるイーロン・マスク氏の訴訟を巡り、反論するブログ記事を公開した。同社は「マスク氏の主張は全て否定するつもりだ」と表明。マスク氏がOpenAIに在籍していた頃にやりとりしたという、メールの文面などを公開している。

米OpenAI、“イーロン・マスク氏の訴訟”に反論 メール文面も公開

 マスク氏は2月末ごろ、OpenAIとサム・アルトマンCEOを契約違反で提訴した。マスク氏は2015年にOpenAIを共同創業し、その際、アルトマンCEOは「人類のためにAIを開発するオープンソースの非営利企業を設立する」と説明していたという。しかし「現在、Microsoftが出資するOpenAIは営利を追求し、GPT-4をオープンソースにしていないのは契約違反である」とマスク氏は主張している。

イーロン・マスク氏

 この件を巡り、OpenAIは創設メンバーの署名入り記事で反論。同社内では17年時点ですでに、AGIを実現するには膨大なコンピュータリソースが必要になり、年間数十億ドルが必要になると認識していたという。当初100万ドルの資金集めから始めようとしていたが、マスク氏は「10億ドルの資金集めから始めるべきだ」と進言し、足りない部分は自身が補うとも説明していたという。

資金調達に関するマスク氏から届いたというメール

 その後、営利企業への転換についてマスク氏と議論した際、マスク氏は自身がCEOになることを希望。結局かなわず、今度は代わりに、tesla社とOpenAIの統合を提案したという。その際、マスク氏は「OpenAIはテスラの『金のなる木』として『併合されるべきだ』と示唆する内容のメールを送ってきた」とOpenAIは説明しており、実際のメール文面を公開している。

「併合されるべき」と示唆しているというメール

 マスク氏のこれらの提案は通らず、18年2月にマスク氏はOpenAIを離脱することを選び「tesla内でAGIの競合システムの構築を目指す」とOpenAIに説明。マスク氏はOpenAIに対して「数十億ドルを調達する自分たち自身の道を見つけることを支援する」とエールを送っていたが、同年12月には「数億ドルを調達しても十分ではない。すぐに年間数十億ドルが必要だ、さもなければ諦めるしかない」というメールが届いたという。

2018年12月にマスク氏から届いたというメール

 OpenAIは「マスク氏は、(OpenAIの)ミッションがAGIをオープンソース化することではないと理解していた。マスク氏に対して『OpenAIの“Open”は、AIの構築後、誰もがAIの成果から恩恵を受けられるべきだということを意味するが、その研究を共有しなくても全く問題ない』と伝えたところ、マスク氏は『いいよ』(Yup)と返答した」と説明する。

“Open”の説明に対して、マスク氏は「Yup」と返事

 「深く尊敬してきた人との間でこのようなことに至ったのは悲しく思う。その人物は私たちにより高い目標を目指すように助言した後、今度は私たちが失敗すると言い、競合他社を立ち上げ、私たちの事業にとって大事な時期に私たちを訴えた」(OpenAI)

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