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「チームで作業」の強い味方? DaVinci Resolveのクラウド機能「Blackmagic Cloud」を研究してみた小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2024年03月06日 20時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 Blackmagic DesignのDaVinci Resolveは、使いどころが幅広いソフトである。もともとはカラーグレーディング用のツールであったことから、映画制作スタジオによく導入されている。以前カリフォルニアのソニーピクチャーズのスタジオを見学させてもらったが、そこでもカラーグレーディングはDaVinci Resolve Studioだった。日本でもポストプロダクションでの導入は多い。

 一方で編集機能もバージョンを重ねるごとに強化されており、今となってはオールマイティーな映像・音声編集ソフトというポジションである。

 そんなDaVinci Resolveにクラウド機能が追加されたのは、2022年のバージョン18の時である。長らくβテスト期間で日本からは利用できなかったが、23年8月に正式版となったタイミングで、日本からも利用できるようになった。ただ発表されてからかなりの期間、日本ではアクセスできなかったことから、あまり利用されてはいないようだ。

 Blackmagic Cloudでできることは、以下の3つに集約できる。

  1. DaVinci Resolveユーザー同士でのプロジェクトおよび素材共有
  2. Blackmagic Cameraからの素材アップロード
  3. 編集動画のプレビュー共有およびアノテーション

 これらの機能に、それぞれチャット機能が付いているというイメージだ。β版のころは、プロジェクトは共有できるが素材共有は別のクラウドストレージを利用しなければならなかったので、ややこしかった。だが正式版になってからはストレージ機能も追加されたため、使い方がシンプルになった。

 クラウド利用料金は、グレードごとに細かく別れている。料金は基本的にはドル建てなので、日本円は為替レートによって変動がある。

ストレージ容量 ライブラリ数 プレゼンテーション数 メンバー数 料金
2GB 1 20 30人 786円
500GB 2 20 30人 3144円
2TB 2 20 30人 1万218円
1PB 101 20 30人 471万6786円

 基本的にはストレージ容量が変わるだけで、プレゼンテーション数や共有メンバー数は変わらない。またDaVinci Resolveの無償版からも、先日無償公開されたBlackmagic Cameraからも利用できる。また共有に関しては、メンバーの誰か1人が有料ユーザーであればよく、共有される側は無料アカウントで利用できる。よってCloudの最低利用料金は、786円(5ドル)ということになる。今回は最低料金でテストしている。

 Blackmagic Cloudは、DaVinci Resolveのプロジェクトマネージャーからクラウドを選び、「新規プロジェクトライブラリを追加」からスタートする。

プロジェクトライブラリは、複数のプロジェクトをまとめたもの

 プロジェクトライブラリは、クラウド上のプロジェクト管理の単位で、このプロジェクトライブラリの中にDaVinci Resolveでいうプロジェクトを複数収納できる。プロジェクトライブラリはいわゆる「番組」という考え方に近い。その中に「第何話」というプロジェクトがある、というイメージだ。単発の番組をたくさん抱えているチームは、1つのプロジェクトライブラリ内で、番組をプロジェクト単位で管理すればいいだろう。

 クラウド内で作成するプロジェクトは、ローカルのプロジェクトとは別物である。従ってプロジェクト設定も別だし、テンプレート素材を保存するパワービンの中身も別である。ただローカルにあるプロジェクトを書き出し、それをクラウドのプロジェクトライブラリ内にインポートすることで、ローカルのプロジェクトをコピーできる。ローカルから環境を移したい場合は、何か1つインポートして、それをベースにプロジェクトを作っていけばいいだろう。

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