Blackmagic DesignのDaVinci Resolveは、使いどころが幅広いソフトである。もともとはカラーグレーディング用のツールであったことから、映画制作スタジオによく導入されている。以前カリフォルニアのソニーピクチャーズのスタジオを見学させてもらったが、そこでもカラーグレーディングはDaVinci Resolve Studioだった。日本でもポストプロダクションでの導入は多い。
一方で編集機能もバージョンを重ねるごとに強化されており、今となってはオールマイティーな映像・音声編集ソフトというポジションである。
そんなDaVinci Resolveにクラウド機能が追加されたのは、2022年のバージョン18の時である。長らくβテスト期間で日本からは利用できなかったが、23年8月に正式版となったタイミングで、日本からも利用できるようになった。ただ発表されてからかなりの期間、日本ではアクセスできなかったことから、あまり利用されてはいないようだ。
Blackmagic Cloudでできることは、以下の3つに集約できる。
これらの機能に、それぞれチャット機能が付いているというイメージだ。β版のころは、プロジェクトは共有できるが素材共有は別のクラウドストレージを利用しなければならなかったので、ややこしかった。だが正式版になってからはストレージ機能も追加されたため、使い方がシンプルになった。
クラウド利用料金は、グレードごとに細かく別れている。料金は基本的にはドル建てなので、日本円は為替レートによって変動がある。
ストレージ容量 | ライブラリ数 | プレゼンテーション数 | メンバー数 | 料金 |
---|---|---|---|---|
2GB | 1 | 20 | 30人 | 786円 |
500GB | 2 | 20 | 30人 | 3144円 |
2TB | 2 | 20 | 30人 | 1万218円 |
1PB | 101 | 20 | 30人 | 471万6786円 |
基本的にはストレージ容量が変わるだけで、プレゼンテーション数や共有メンバー数は変わらない。またDaVinci Resolveの無償版からも、先日無償公開されたBlackmagic Cameraからも利用できる。また共有に関しては、メンバーの誰か1人が有料ユーザーであればよく、共有される側は無料アカウントで利用できる。よってCloudの最低利用料金は、786円(5ドル)ということになる。今回は最低料金でテストしている。
Blackmagic Cloudは、DaVinci Resolveのプロジェクトマネージャーからクラウドを選び、「新規プロジェクトライブラリを追加」からスタートする。
プロジェクトライブラリは、クラウド上のプロジェクト管理の単位で、このプロジェクトライブラリの中にDaVinci Resolveでいうプロジェクトを複数収納できる。プロジェクトライブラリはいわゆる「番組」という考え方に近い。その中に「第何話」というプロジェクトがある、というイメージだ。単発の番組をたくさん抱えているチームは、1つのプロジェクトライブラリ内で、番組をプロジェクト単位で管理すればいいだろう。
クラウド内で作成するプロジェクトは、ローカルのプロジェクトとは別物である。従ってプロジェクト設定も別だし、テンプレート素材を保存するパワービンの中身も別である。ただローカルにあるプロジェクトを書き出し、それをクラウドのプロジェクトライブラリ内にインポートすることで、ローカルのプロジェクトをコピーできる。ローカルから環境を移したい場合は、何か1つインポートして、それをベースにプロジェクトを作っていけばいいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR