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「チームで作業」の強い味方? DaVinci Resolveのクラウド機能「Blackmagic Cloud」を研究してみた小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(2/3 ページ)

» 2024年03月06日 20時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

「編集」を他のユーザーと共有してみる

 DaVinci Resolveでクラウド側のプロジェクトを開き、そこに素材を読み込むと、クラウド側にも素材が転送される。プロキシのみか、オリジナルも含むかはプロジェクト設定の最初のダイアログで設定した状態が維持される。

クラウドプロジェクトの設定画面

 誰かを招待したい場合は、プロジェクトライブラリ名の横にある「i」アイコンをクリックして、相手のメールアドレスを入力する。相手は事前にそのメールアドレスでBlackmagic Cloudにアカウントを作っておく必要がある。これで相手は、プロジェクトライブラリ内のプロジェクトも含めた素材が、DaVinci Resolveから開ける。

 クラウド経由でプロジェクトと素材が共有できるという構図は、Dropboxを使っている状態と似ている。あるマシンで作業していて、出掛ける時に別のノートPCを持って出ても、クラウドを経由して同期しているので、別のノートPCで同じプロジェクトを開いて、続きが編集できる。これと同じ事が、他人との間でも実現できるわけだ。

 なおプロキシデータのみをクラウドで共有している場合、共有相手側のPCにはプロキシデータのみしかダウンロードされない。なお素材がダウンロードされるのはあくまでもデータアクセスの都合で、プロジェクト自体は常時同期しているので、ネットにつながっていない環境では編集できない。

 1つのプロジェクトを、自分と相手方と両方で開く事はできる。ただしタイムラインを編集できるのは誰か1人だけだ。誰かが編集している場合は、もう一方はタイムラインを開いて見ることはできるが、編集はロックされる。ただし別タイムラインを作れば、同じプロジェクト内でも編集できる。

他の人が編集中のタイムラインには、その人のイニシャルが表示される

 プロキシデータのみを共有した場合でも、一応解像度はHDなので、ネットに出すぐらいであればそのままレンダリングすればよい。オリジナルソースを使いたい場合は、共有元のユーザーがそのタイムラインを使って、オリジナル解像度でレンダリングすることになる。

「撮影」を共有してみる

 Blackmagic Designでは、23年9月にiPhoneアプリ「Blackmagic Camera」を無償公開した。初期バージョンは英語版だったが、現在は日本語版が手に入る。

iPhoneアプリ「Blackmagic Camera」

 このカメラアプリはiPhoneのカメラを使ってマニュアル撮影ができるが、ポイントは撮影した動画をBlackmagic Cloudへアップロードできる事にある。これもオリジナルをアップロードするか、プロキシをアップロードするかが選択できる。

 自動アップロード設定をしておけば、撮影するとすぐにBlackmagic Cloudへアップロードされる。アップロード先のプロジェクトを共有しておけば、他の人がDaVinci Resolveで待ち構えていて、アップロードされたファイルが同期されるのを待つ。そのファイルを使って、撮影が続行中でも編集に着手できる。

撮影したクリップを自動でクラウドにアップロードできる

 これはリアルタイムのライブ配信ではなく、編集したものを素早く公開したい場合に役に立つ機能だ。カメラはiPhoneになるので、記者が現場に行って速報を出すみたいな使い方ができるだろう。

 またこのカメラアプリは、iPhone内の動画もクラウドにアップロードできる。別のカメラで撮影したものも、iPhoneに取り込めるならば、そこでプロキシを作ってアップロードできる。いずれにしても、速報性を重視する制作には便利な機能だ。

 編集後に撮影したiPhoneが戻ってくれば、オリジナル解像度のファイルを取り込んで、プロキシファイルと同期させれば良い。同期のさせかたは他誌にですでに掲載済みなので、ここでは割愛する。「小寺信良 Blackmagic Camera」で検索すれば出てくるだろう。

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