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政府が宇宙技術戦略を初策定 自立性確保に向け、技術的優位性など狙う

» 2024年03月28日 20時22分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 政府の宇宙政策委員会は3月28日、安全保障と民生の両面で重要度が増す宇宙活動の自立性を確保するため、技術開発の方向性を定めた「宇宙技術戦略」を初めて策定し、東京都内で高市早苗宇宙政策担当相に報告した。高市氏は「私たちの命や暮らしを守る中で宇宙技術は必要だ。新たなサービスや産業も生む」などと応じ、着実に実行していく姿勢を示した。

 同戦略は「衛星」「探査」「輸送」「共通技術」−の各分野を柱とし、わが国の勝ち筋を見据えた上での技術的優位性やサプライチェーン(供給網)の強化を重視。技術開発のロードマップを示したほか、国内外の技術動向や予算状況などをふまえた見直しを毎年実施する。大学や企業などに対し、今後10年間で1兆円規模の支援を目指す「宇宙戦略基金」との相乗効果も狙う。

 技術開発の主な事例としては災害や有事での活用を見据えた光通信や地上観測用の衛星コンステレーション、地球外からのサンプルリターン(試料回収)や月面車、再使用型ロケットや宇宙港の整備などが挙げられる。

 委員長を務める西武ホールディングスの後藤高志代表取締役会長は「策定に当たり、多方面の意見を集約できた。ここからがスタートで、実装や商業化を見据え、実行に移していくことが重要だ」と指摘した。

photo 新たに策定された「宇宙技術戦略」を受け取る高市早苗宇宙政策担当相(右)=28日、東京都千代田区(小野晋史撮影)

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