ゲームエミュレータ「Dolphin」の開発プロジェクトの中心的存在であるOatmealDomeは4月19日(米国時間)、iOS版Dolphin「DolphiniOS」の米Appleの公式アプリストアApp Storeへの登録を断念したと発表した。
Appleが5日、開発者向けガイドラインを更新し、レトロゲームエミュレータの配布を認める文言を追加したことを受け、17日にはファミコンやゲームボーイなどのゲームのエミュレータアプリ「Delta」がApp Storeに登場した。Deltaは本稿執筆現在、日本のApp Storeの「エンターテインメント」部門で2位だ。
開発者向けガイドラインが更新されて以来、DolphiniOSをApp Storeに提出するかどうか多くの人々から尋ねられたが、「残念ながら否」だとOatmealDomeは語った。
その理由は、Dolphinの快適な実行に必須なコンパイラ「JIT」(実行時コンパイラ)の使用をAppleが許可しないからという。
Dolphinは、エミュレートされたコンソールがゲームコードを実行する際、JITを使用してPowerPC(GameCubeとWiiのCPU)のコードをARM(iPhoneのCPUのベース)に変換する仕組みになっている。
Appleは、欧州ではSafariの代替WebブラウザでのみJITの使用を許可しているが、それは例外だ。(そもそもガイドライン更新の主な理由は欧州でのDMA対応の一環とみられる。)
DolphinプロジェクトはJITの使用を許可するようAppleにリクエストしたが、Appleはそれを拒否した。
Appleは拒否の理由を明示しなかったが、同社は開発者向けドキュメントでJITコンパイラには独自のセキュリティ上の課題が生じると説明している。
DolphiniOSをJITなしで登録することは可能だが、それでは快適なゲームプレイは望めないため、登録を断念した。以下は、JITあり(上)とJITなしでのプレイ比較動画だ。
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