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「AIと共存すべき」人気声優・梶裕貴 自身の声で自由にしゃべれるAIソフト発売へ 「たくさん悩んで」決断

» 2024年05月28日 10時33分 公開
[岡田有花ITmedia]

 「正直、たくさん悩みました」――人気声優の梶裕貴さんが、自身の声で自由にしゃべらせることができる音声合成ソフト「CeVIO AI 梵そよぎ(そよぎそよぎ) トークボイス」を製品化すると発表した。5月29日午後9時から、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で受注をスタートする。

 ここ最近、AIを使って人気声優の声などを無断で再現したコンテンツが問題になっており(関連記事)、梶さんも頭を悩ませてきたという。だが「AIと敵対するのではなく、共存すべき」と結論づけ、「あえて私の声を持つ『梵そよぎ』を解禁することで、"正しい音声AIの在り方"を証明できるのではないか」と考えて開発を決断したという。

画像 梶さんのコメント全文
画像 プロジェクトページより

 CeVIO AIは、ソニー・ミュージックエンターテインメントや名古屋工業大学発ベンチャーのテクノスピーチなど、複数の企業が参加する音声合成AIプロジェクト。

 「CeVIO AI 梵そよぎ」は、梶さんがクラウドファンディングで応援を募りながら進めているキャラクタープロジェクト「そよぎフラクタル」の一環で、歌声合成ソフト「CeVIO Al 梵そよぎ ソングボイス」の開発は発表済みだった。

 梶さんは「当初はソングボイス(歌声合成ソフト)のみの開発にとどめる考えだった」という。だが「プロジェクトに対する大きな期待値を感じ、少しでも音声AIの明るい未来に貢献できるなら」と、トークボイス(声の再現ソフト)の開発を決断した。

 「AIという技術自体に善悪はない。あくまで、それを使用する人間側のモラルにかかっている」とした上で、「声優業界の第一線を走る梶裕貴の声がソフト化することは、今後の声優のありかた、AIの正しい使い方、クリエイターが自由にモノづくりができる環境のあり方をアップデートさせる一歩になる」などと意気込みを述べている。

 ソフトで合成した音声は「個人または同人サークル」に限り、商用・非商用問わない幅広い用途での利用を許諾する方針という。二次創作ガイドラインも整備中だ。

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 梶さんは「梵そよぎ」プロジェクト開始当初から、「これまでお世話になってきたアニメ業界・声優業界への恩返し」「プロアマ問わず、面白いものを作りたいと思った人が、しがらみなく、気の合う仲間と好きなものを作れる場所づくりをしたい」「誰もが楽しみながら新しい作品を生み出し、世界に通用するカルチャーを作れる場所を具現化したい」などの思いを述べてきた。

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