日本時間5月8日に開催されたAppleの新製品発表会は、開催が午後11時だったこともあって、多くの人がリアルタイムで視聴したようだ。新iPadがメインで、多くの人がそこに言及しているが、動画制作のプロならiPadを使った新しい「Final Cut Pro 2」のアプローチに注目したことだろう。
iPadは動画編集にも対応できるパワーがありながら、プロ用動画編集アプリの選択肢が少なかった。2018年に「Adobe Premiere Rush」が登場したが、これは名前の通りラッシュ編集ができる程度で、最終的にはPremiere Proにプロジェクトを渡して仕上げるという格好だった。iPadの機動力を生かすという点に注目したということだろう。
その後もサードパーティーの参入がいくつかあったが、iPadでフィニッシングまでやるという発想が出てきたのは意外に最近で、22年10月に発表された豪Blackmagic Designの「DaVinci Resolve iPad版」の登場まで待たなければならなかった。
追って23年5月には、iPad版「Final Cut Pro」が登場したが、あまり話題にならなかった。Mac版「Final Cut Pro X」は2011年に登場して13年も経つのに、バージョンが0.7.1しか上がっておらず(今度10.8になるそうだが)、市場で競争力はない。iPad版が登場しても、ニュースバリューがなかったのだろう。
だが、イベントで発表されたiPad版「Final Cut Pro 2」は、1年でメジャーアップデートしたわけで、やる気があるんだろうなぁと評価できる。まだ現時点ではリリースされていないため実際のテストはもう少し先になるだろうが、単に編集できるだけでなく、ライブマルチカム機能を強化してきた。この機能の背景を探ってみたい。
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